Primitive Technology(プリミティブ・テクノロジー)が自然通風炉による古代製鉄法を実践


原始の技術の実践して先人たちの知恵を現代に呼び起こし映像に記録するPrimitive Technology(プリミティブ・テクノロジー)というYouTubeチャンネルがあります。

圧倒的なチャンネル登録者数で毎回無言で黙々と作業するだけのシンプルな構成ですが、逆にそれが言語の壁を突破して世界中で支持されいる理由でしょう。

白人男性がまさしく裸一貫で森にあるものを使って生活するための小屋や道具を作るには、知識と経験と場所が無いと容易に真似出来ないため独自コンテンツとして確立しています。

小屋も最初は樹の皮や落ち葉を重ねた簡素な屋根でしたが、いつしか粘土を焼いて瓦屋根を作ったり、暖炉やサツマイモ畑なども次々に出来上がると本当に定住していけそうな環境になってきました。

何の知識も持ち合わせていない原始時代の先祖たちが長い年月をかけて習得した自然の中で生きる術を、改めて現代人が実践することに意義があると思います。

そんな彼がついに製鉄に乗り出し手動のブロワーを用いてゴマ粒ほどの鉄を製錬することに成功しましたが、より多くの鉄を得るために今度は自然通風炉というこれまでて一番大規模な炉を建設しました。

縦長な炉は煙突効果による上昇気流を発生させブロワーを使わずとも安定した高火力を発揮するので効率的な製鉄が行なえます。

歴史的には銅や青銅の方が古くから製錬されていたようですが、今の環境だと銅鉱石を探すよりも鉄バクテリアを含んだ泥から鉄を製錬する方が簡単そうなので一気に鉄器時代へタイムリープした感じがします。

しかし鉄器の方が早くから作られていたという文献もあるので、地域によって使われていた金属に違いがあるのかもしれません。

鉄は銅に比べて製錬する難易度が高いので、経験豊富な彼でもより純度の高い鉄を得ることは容易ではないでしょう。

もし近くに銅鉱石が落ちていれば銅の製錬も見てみたいですがどうなんでしょう?


その辺の粘土に枯れ葉などの植物繊維を混ぜて器用に土台から炉を作り上げます。

このように穴を掘ったり小屋を建てたりしていますが、私有地なのか許可を得て借りている土地なのか気になるところです。

こねれば自由に造形でき焼けば陶器やレンガになる粘土という素材は原始の時代から非常に多目的な用途に使われていたことがわかります。


自然の森の中に突如作られた人工物は自然の中で生きる人間の存在を示すシンボルのようにも見えます。

炉の下部に開けられた穴から絶えず新鮮な空気が入り、勢いよく燃えることで高温になった炉内で少しずつ製鉄が進みます。

鉄の融点が1,538°Cなのでこんな手作りの炉でもそれほどの高温に達するということでしょう。


鎮火した炉内には溶けて凝縮した鉄がこびり付いた状態で固まっています。

手動ブロワーで一生懸命に作業してゴマ粒ほどしか得られなかったのと比較するとそれなりの量が製鉄されているようです。

今度はこの鉄を鍛造して強くすることで鉄の道具を作ることができれば、もはや原始時代とは言えないほどのテクノロジーまで手にすることになります。

もとは手付かずの自然を人間が何代にも渡って経験と失敗を繰り返し、今日の社会があるというのは何とも感慨深いものがあります。

仮に知識を持たない現代人が同じ森へ行っても何も作り出せず途方に暮れると思いますし、同じ環境において知識がいかに大事であるかをPrimitive Technologyを通して感じることができます。


人はどのように鉄を作ってきたか 4000年の歴史と製鉄の原理 (ブルーバックス)