【10周年】神聖かまってちゃん の子(大島亮介) デモ音源(個人作品)にこそ本当の魅力が詰まっている

神聖かまってちゃんというバンドが今年で結成10周年を迎えました。

神聖かまってちゃんをそもそも知らない、知ってるけど興味がない、『ロックンロールは鳴り止まないっ』だけ辛うじて知っているなど世間の認知度はその程度でしょう。

バンド名からそもそも聴くのを避けていたり、過激なパフォーマンスに嫌悪感を抱く人も多いと思います。

しかし楽曲を通して神聖かまってちゃんと向き合うと実に多彩で非凡な才能を感じ取ることができます。

神聖かまってちゃん全ての作詞・作曲を手がけボーカルやギターも担当する中心人物であるの子(大島亮介)さん。

学生時代にイジメられた過去を持ちながらもその怒りや憎しみを音楽という媒体に昇華させることで、それを生業にできるほど多くのファンに支持されるようになりました。

「死ね」「死にたい」といった一見するとネガティブな表現もむしろ生への渇望ではないかと思います。

若さゆえの狂気なエネルギーだけでは10年もの長きにわたってバンドを存続させることはできません。

もともと万人受けするようなバンドではありませんが、それでも飯を食うための処世術を身に着けたのだと思います。

数えきれないほどのバンドが数年で解散していくなか、神聖かまってちゃんは常に変化し続けながら存続させる道を選びました。

アニメとのタイアップや最近では映画『恋は雨上がりのように』の主題歌としてフロントメモリーが採用され、改めて神聖かまってちゃんの楽曲の素晴らしさが見直されるきっかけとなりました。

昔ながらのファンのなかには狂気を感じない最近の曲はつまらないだとか、才能が枯渇したと酷評する人もいますが、の子さん本人は自分を捻じ曲げてまで表現を変えるつもりはないしほっとけというブレない信念があります。

の子さんのスタンスとしてどれだけキャリアを積んでも昔から変わらずにやり続けていることがあります。

それは神聖かまってちゃんの一員である前に、大島亮介として妥協しない作品を作り続けていることです。

の子 俺は作品には妥協できないんで。昔から言ってるんですけど、CDに録音されたものは俺にとっては「仕事」なんですよ。そして個人でMTRで宅録して作ったものが「自分の作品」だと思ってる。

斎藤 趣味ってことですか?

の子 いや、むしろそっちが本業。

神聖かまってちゃん「ベストかまってちゃん」特集 の子×精神科医・斎藤環対談 (1/4) – 音楽ナタリー 特集・インタビュー

インタビューでも仕事は個人作品とは別にして割り切っていることがうかがいしれます。

ビジネスとして考えれば商品化された音源の方が優れていると言った方が得ですが、宅録こそが自分の作品だと言い切ってしまうあたりが生粋のクリエイターなのでしょう。

やたらと他人の評価ばかりを気にして自分を圧し殺すような風潮があるなかで、自分に正直であることは幸せなことかもしれません。

の子さん自らが”本業”としている音源が自身のサイトやYouTubeやニコニコ動画にアップロードされています。

デモ音源と商品化された音源を聴き比べると大半はデモ音源に軍配が上がります。

微細なノイズが混じり荒削りな部分もありますが、商品化するためにマスタリングされた音源は良くも悪くも角が取れてしまい物足りなさを感じます。

特にシューゲイザー的な楽曲ではノイズも含めて音楽なので、必ずしもクリーンな音が良いとは言えません。

素材の味付けこだわっていろいろ調合するよりも粗塩を振りかけるだけが一番うまいのといっしょです。

そのくらいデモ音源には素材本来の味を感じられ、の子さんにしか表現できない独特の世界観が広がっています。

もうデモという言葉がおこがましいほど作品として成立しており、MVも自作なのにプロが金をかけて作るMVよりも心に響きます。

好きな人は中毒になるほど聴き、嫌いな人は二度と聴きたくないという二極化するのが神聖かまってちゃんの音楽です。

今回はYouTube 大島亮介チャンネルよりMVをいくつかピックアップして紹介します。

※サムネイルをクリックすると動画が再生されます

神聖かまってちゃん の子(大島亮介) デモ音源(個人作品)

笛吹き花ちゃん

デモの方がリズミカルでドラムにも力強さがあります。

ゆーれい未満

アルバムでは『ゆーれいみマン』というタイトルに変更されています。デモに比べてかなりマイルドな仕上がりになっています。

夜空の虫とどこまでも

デモの方がシンプルな構成ですが物足りなさは感じません。打ち込み系の楽曲も難なくこなします。

夕方のピアノ

個人への恨みで一曲書き上げるまでに至った原因である佐藤くんはどれだけ酷いイジメをしたのでしょうか?

ぺんてる

ぺんてるは文房具の会社ですが、この曲のぺんてるはぺんてるの看板が掲げられた駄菓子屋のことです。

いかれたNeet

フィッシュマンズかと思うほどアンニュイな雰囲気を醸し出しており、気怠さの裏に潜む狂気が必要なのだと思います。

スピード

デモならではのノイズが心地よいですが、商品化されたものはノイズが弱まり平凡な曲になりました。

天使じゃ地上じゃちっそく死

ギターリフがかっこよく死にたい死にたい言ってる曲ですがその叫びはの子だからこその重みがあり、それでも生きろというメッセージなのかもしれません。

黒いたまご

神聖かまってちゃんの最高傑作にあげる人も多く、デモから商品化されたことで魅力が半減してしまった曲でもあります。

白いたまご

黒いたまごに対して優しさがあるかと思いきや歌詞は冷淡な気がします。

友達なんていらない死ね

歌詞はぶっ飛んでますが美しいメロディーラインも注目すべきポイントです。

22才の夏休み

夏休みシリーズは神聖かまってちゃんの夏のイメージを強く印象づけています。

まぼろし大好きっ!

ギターを掻き鳴らすようなサウンドが特徴だった原曲に比べてギターが鳴りを潜め、より打ち込み部分が強化されています。

ロボットノ夜

商品化してからのMVも悪くはありませんが、このオリジナルには独特のセンスがあります。打ち込み系の楽曲の中でも特に完成度が高いです。

砲の上のあの娘

デモの方が疾走感やキレの良さが際立ちます。

フロントメモリー

キラキラとした真夏の雰囲気が上手く表現されており、神聖かまってちゃんのなかでも屈指の名曲です。

るるちゃんの自殺配信

10年が経ちアニメや映画からのファンが増えたところで原点回帰のような突き放し方をするところがの子さんらしいです。

放課後の図書室

最後はおまけとして『ロックンロールは鳴り止まないっ』のベースとなった曲です。ピアノだとまた違った印象になって面白いです。

まとめ

の子さんも三十路を過ぎ昔のような破壊的な衝動は徐々に失われつつありますが、それはそれで今の自分から湧き出すものを作品にしてもらえればと思います。

音楽だけで生活することが大変で今後さらに厳しい時代になっていくなかで、古くからネットと深い関わりを持ちバンドを存続させていることは次世代のバンドにとって道標になります。

神聖かまってちゃんはただのキ○ガイバンドではなく、音楽に対して真摯に向き合ってきたからこそ10年続けてこれたのでしょう。

リスナー側も先入観を捨ててフラットな気持ちで神聖かまってちゃんの音楽に向き合ってみると違った印象を抱くはずです。

夏の音楽といえばTUBEやサザンオールスターズを思い浮かべますが、私の中では断然神聖かまってちゃんの持つ夏休みの田舎の風景が強いです。

もしかしたらの子さんにとって”夏休み”だけが学校のイジメっ子や無力な自分から開放される心の拠り所だったのかもしれません。


ツン×デレ


音楽

Posted by Coro