メダカブームの闇 極端な品種改良による生体への影響


Photo by pinterest.jp

最近やたら空前のメダカブームとメディアがはやし立てるニュースを見かけました。

メディアが取り上げるころにはすでにその流行は下火になっていたり、そもそも広告代理店が作り上げる幻想だったりもしますがメダカについてはどうなのでしょう?

改良品種メダカの火付け役となった楊貴妃メダカが登場したのが2004年ごろで、そうなると10年以上も前からジワジワとメダカブームが続いていることになります。


楊貴妃メダカ(20匹)

錦鯉や金魚はもっと長い歴史がありますが、昔はどこの水辺にもいた地味なメダカをわざわざ品種改良しようという発想はなかったのでしょう。

ヒメダカも突然変異を固定したものですが、観賞用というより大型魚の安価な生き餌というイメージが強いです。

ヒメダカをさらに品種改良して赤味を際立たせたのが楊貴妃メダカで、メダカを高値が付く魚に変えたのも楊貴妃メダカの存在が大きいと思います。

私はメダカの品種改良そのものを否定するつもりはありませんが、品種改良による悪影響も少なからずあるのでそれには警鐘を鳴らします。

品種改良メダカの悪影響

悪徳業者による詐欺まがいのメダカ販売

特にネット通販やオークションに出品されているメダカの生体や卵には注意が必要です。

楊貴妃メダカを買ったのにヒメダカと見分けがつかないくらい赤味が薄かったり、固定化されていない品種をブランド化して売っていたりと悪質な業者が存在します。

これは産業動物として市場が形成され商取引の道具になった弊害でもあります。

無闇な品種改良による生体被害

ダルマメダカという脊髄が普通のメダカよりも少ない奇形に人気があります。

しかし生体への負担が大きく生殖能力がなかったり短命に終わる個体が多いので、このような奇形を持てはやす風潮はいかがなものかと思います。

ダルマメダカはメダカ本来の強靭さが失われ、野外で通年泳がすことすら困難なので、カラフルで寸胴な小魚が好みならばプラティでも飼いましょう。

プロアマ問わず系統なども無視してとにかく珍しい新種を誕生させようと躍起になった結果として、奇形や体質の弱い個体が増えているように感じます。

自然への放流による遺伝子汚染

もともと日本の水辺に生息しているメダカなので、自然に放流してしまうと繁殖する可能性があります。

もし野生のメダカと交雑した場合には遺伝子汚染になるので、飼えなくなったからといって放流するのは厳禁です。

また例え黒メダカであっても地域ごとに固有の遺伝子を持っているので、外部からの遺伝子を持ち込むのは避けるべきです。

特に東京など人や物の出入りが激しい地域は相次ぐ無知な放流によって遺伝子汚染が進み、生粋の東京メダカはほとんど見かけません。

無知の放流が「東京めだか」を絶滅状態に メダカの野生復帰はかなうのか? | THE PAGE 東京

見た目の色や形が明らかに異なる改良品種ならまだしも、遺伝子レベルでなければ見分けるのが難しい野生種のメダカをすべて同じだと勘違いして放流してしまうのが最も悪意がなくて厄介な行為です。

メダカブームはアクアリウム業界にとっては朗報ですが、ブームが過ぎ去った後に遺伝子汚染が助長されないか心配です。

動物愛護管理法の及ばない無法地帯

命の重さに差はないと思いますが、動物愛護の観点からすると爬虫類と両生類や魚や虫では大きな差があります。

*愛護動物とは

1 牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる
2 その他、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの

動物愛護管理法 | 環境省

このように魚に関しては動物愛護の法律では裁けないので、どうしても命を軽んじる人が現れやすいです。

ライフサイクルの短いメダカは次々に繁殖と死が繰り返され、個体というよりも血統を維持する感覚ですが、それでも命を粗末に扱うのは許されません。

外敵から狙われやすい

黒メダカは警戒心が強く体色も地味なため比較的安全ですが、カラフルな品種改良メダカは警戒心が低いのと体色も目立つので鳥などの外敵から狙われやすいです。

鳥よけネットや金網などで保護してやればメダカが食べられるリスクを減らせるのでおすすめです。

もし高価なメダカを飼育していたら人による盗難のリスクも考えなければなりません。

昔はどこにでもいた魚が今ではわざわざ盗難しにくる連中もいるという皮肉な状況です。

まとめ

メダカは小型の淡水魚なので特別な道具がなくても手軽に飼育できることで人気を集めています。

メダカを飼育することは身近に魚を鑑賞できるので素晴らしいことですが、注目を浴びれば浴びるほど負の側面も目立つので飼育者はそれも意識しながらメダカと向き合ってほしいです。

品種改良による遺伝子的疾患を持つメダカは極力避けたり、無闇な放流はせず最後まで責任を持って飼える人が増えれば、メダカ業界が成熟していくと思います。

最後に品種改良メダカも良いですが、黒メダカもよく飼い込んで太陽光の下で眺めると黄金色に輝きたいへん美しいので、個人的には黒メダカが一番好きだったりします。


黒メダカ(30匹)

下記の動画のように地元で採集したメダカや水草でビオトープ風な水景を作り上げるのも粋な楽しみ方ですね。


睡蓮鉢(メダカ鉢) 凛 RIN 黒 S

アクアリウム

Posted by Coro