冥丁 (メイテイ) 戦前の雰囲気と電子音楽を融合させ独自の世界観を構築する日本人アーティスト
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日本人と音楽の関係は戦後すぐからアメリカの大衆音楽がラジオで流され、戦争で疲弊した日本人の心を癒やしてくれました。
今しがた敵国だった国の文化が猛烈な勢いで日本へ流入したことで、日本人の価値観も急速に欧米化していました。
その後の高度経済成長を経て日本の音楽も欧米の真似事から、いつしか独自の発展を遂げ今に至ります。
現代はインターネットによって世界中の音楽情報をリアルタイムで入手できたり、自ら発信して拡散することができるので海外との障壁はないに等しいです。
国内の大衆音楽としてJ-POPというの総称が生まれましたが、長らく国内需要を満たすのが主な目的でした。
島国日本のガラパゴス音楽として親しまれてきましたが、近年になってシティポップが海外で人気になるなど逆輸入のような現象が起きています。
ひとつ日本の音楽文化の節目として新たな時代の潮流のなかで、冥丁 (メイテイ) という戦前の雰囲気と電子音楽を融合させる試みをされている日本人アーティストがいます。
戦前・戦中世代の数も徐々に減り、戦前の日本の記憶が薄れるなかで、『失日本』(失われつつある日本の雰囲気) をテーマにアンビエントでノスタルジックな作品を制作されています。
多くの観光客で賑わう京都で精神的に病んでしまった冥丁は故郷である広島県の尾道市へ拠点を移し、小泉八雲や水木しげるからインスピレーションを受けて1stアルバム『怪談』を制作します。
それがPitchfork 2018年度の『ベスト・エクスペリメンタル・アルバム』に選出され海外から注目されることになります。
その後2ndアルバム『小町』と3rdアルバム『古風』によって失日本3部作が完結しました。
さらに『古風』シリーズ3部作の完結編として『古風III』が発表され本当の意味で締めくくりとなりました。
冥丁は全体的に落ち着いた楽曲が多いですが、『古風』は比較的ポップで聴きやすく特に花魁 IIはMVも作られ屈指の名曲です。
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グローバル化によって様々な人種や文化が混じり合い、その結果として世界各国どの都市へ行っても似たような雰囲気となり文化が均一化しつつあります。
そのような社会になれば日本古来のものだったり戦前の文化というものに価値が生まれるのは当然です。
日本のガラパゴス化は悪い面もありますが、独自に進化した文化があまり干渉されずに辺境の島国で育ったという良い面もあります。
世界中でヒットする映画や音楽がなぜか日本では受けないことが多いのは、そもそも国民の感性が違うことを表しています。
この点は均一化する社会のなかで今後大きなメリットとなる可能性を秘めています。
冥丁の故郷である広島は終戦のきっかけとなった原爆投下の地。
そして山と海の豊かな自然とレトロな街並みが残る尾道から生まれた唯一無二の音楽です。
『冥』の漢字は人びとが見落としている闇のなかの存在を再編していく意味。
『丁』は「使い、奉公する人」の意味を表しているそうです。
世界が混沌とするほど冥丁の楽曲は輝きを放つでしょう。
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