アンチ・ブラックフライデー 過熱する年末商戦と反消費主義の出現

anti-black-friday

ブラックフライデーの思惑

ブラックフライデーといえばアメリカで毎年11月の第4木曜日に感謝祭という祝日があり、その翌日からホリデーシーズンと呼ばれる一年で最も国民が買い物をする時期の開始日(金曜日)を指します。

まさに消費大国アメリカを象徴するようなイベントですが、近年では日本でもこのブラックフライデーを定着させようと政府や経団連が大規模セール呼びかけています。

たくさんの商品を売り捌いて経済を活性化させるのは悪いことではありませんが、セール前の買い控えやセール後の売り上げが減少するという問題提起もされています。

結局は資金力を生かした広告を打てる大企業や大型流通街に売り上げが集中してしまい、小さな商店街などはあまり恩恵を受けられないという指摘もあります。

アベノミクス
により東証1部に入っているような大企業は過去最高の売上高・営業利益を記録していますが、一方でリーマンショックの経験から今後起こるであろう次なる金融危機に備え内部留保を溜め込んでいます。

そう考えると年末商戦で消費しても大企業の懐を温めるだけで経済の活性化に繋がるのかは疑問です。

クリスマスでもお腹いっぱいなのにハロウィンが定着し、さらにイースター(復活祭)やらサイバーマンデーやらプレミアムフライデーを定着させようと躍起になっています。

これを経済産業省が主導して取り組んでいるという気持ち悪さ。

何とかして消費者の財布の紐を緩めてやろうという意気込みは伝わりますが、いざ財布が開いても中身がスッカラカンでは意味がありません。

日本人は投資もせずコツコツと現金を貯金する事で家計貯蓄率は世界でも高水準でしたが、今や貯蓄率マイナスにまで落ち込み、何もしないとどんどん貧しくなる環境で生きている事になります。

お金に余裕があれば自然と財布の紐も緩んで消費するはずなので、根本的な景気回復の施策に注力するのがよほど効果があります。

ヘリコプターマネーで国民に直接現金をバラ撒く政策も議論されていますが、このような劇薬を打とうか迷うほど経済が低迷しているという事です。

反消費主義の出現

感謝祭はもともと神に感謝する宗教的な意味を持っていたようですが、現在は宗教的な意味が薄れ家族や親戚が集まり大規模な食事会が行われるのが通例となっています。

しかし過熱する年末商戦の影響でセールのために長い行列に並んだり、大勢の客が押し寄せた店舗で従業員が押し倒されて圧死する事故が起きており、本来の感謝祭の習わしからかけ離れていることが問題視されています。

そんな状況の中いち早くブラックフライデーにNOを突きつけたのがパタゴニアでした。

2011年に「Don’t Buy This Jacket(このジャケットを買わないで)」という広告をニューヨーク・タイムズ紙に掲載し物議になりました。

「Don’t Buy This Jacket(このジャケットを買わないで)」:ブラックフライデーとニューヨーク・タイムス紙 – パタゴニアのブログ「クリーネストライン」

その後も店内で古着の交換イベントを開催したり、古着の無料修理や修理キットを販売するなどアンチ・ブラックフライデーと言える活動を続けています。

もともと先見性のある企業なのでこうした取り組みをしても不思議ではありませんが、身を切る決断が必要なほど近年の消費主義の加速を危惧してのことでしょう。

それに付随するかのようにアメリカ最大のアウトドア用品販売店であるREI(アール・イー・アイ)もブラックフライデーに全店舗で営業しないという思い切った決断をしました。

営業すれば一年のなかでも相当な売り上げが見込める日にあえて営業せず、社員やアルバイトがゆっくりと家族や親戚と過ごせる時間に投資したことはとても意義があります。

こうした有名企業の勇気ある取り組みによりブラックフライデーに不参加のブランドが次第に増えているようです。

行き過ぎた消費主義は突き詰めると安物売りに繋がり、それを製造するコストも抑えなければならず、そのシワ寄せが生産者であり消費者でもある国民におよび、負のスパイラルに陥る要因となります。

この流れをどこかで断ち切らない限りは、いつまでも歪んだ社会の中で暮らして疲弊する事になるでしょう。

まずは勇気ある行動から少しずつ社会を変えていくしかありません。


「欲望」と資本主義-終りなき拡張の論理 (講談社現代新書)