究極に自立した人間は物を持たずに豊富な知識と洗練された技術で困難を乗り越える
物を極力持たないことで日常生活をよりシンプルに過ごそうとする人たちがいます。
ここ数年で一気に盛り上がりをみせ、ミニマリストが2015年の流行語大賞にノミネートされるまでになりました。
最近ではテレビやラジオ・新聞・雑誌などでミニマリストという言葉が多く取り上げられています。
自立とは何か?
よく就職して1人暮らしを始め一人前の大人になったと言われますが、会社から給料をもらい外食やスーパーで食材を買ってきて自炊したり、蛇口をひねれば清潔な水が得られる環境で果たして自立したと言えるのでしょうか?
自立には経済的自立や精神的自立がありますが、経済的自立といっても社会には依存しているわけです。
困難にぶつかった時には不屈の精神力が必要なので、精神的自立は必要不可欠です。
道具に勝るもの
ミニマリスト含め現代社会で生きる人間の多くは豊かなインフラが整った環境で日々暮らしているわけですが、ひとたび災害や事故が起こると機能停止に陥る脆さを兼ね備えています。
皮肉にも3.11東日本大震災という大災害・大事故が起こり現代社会の危うさが露呈してしまいました。
とはいっても人口の集中した東京の被害はそれほどでもなく、あれから数年経ち3.11の記憶も徐々に薄れてきました。
今後確実に起こりうるであろう首都直下地震や未曽有の経済危機、それから近隣諸国との争乱に巻き込まれる可能性も否定できません。
物を減らすことはたしかに大切なことですが、人間がもともと持っている生存能力はいかなる道具よりも優れていると思います。
道具はその生存能力を補助するために使われるのが本来の在り方で、いつしか人間はその道具に依存しなければ生活できなくなってしまいました。
自分自身もこれまで数多くの道具を紹介してきましたが、道具に頼っているようではまだまだ一人前ではないという事です。
いかなる状況に身を置いてもあたふたせずに自らの経験や知識をフル活用して困難を乗り越えることで、究極の自立へと近づける気がします。
無から有を産みだし無へ帰る
大昔の先祖は太陽や星の位置で方角や時間を把握し、自然の中から食材を調達して食べ、危機管理能力は現代人とは比べものにならないほど研ぎ澄まされていたに違いありません。
文明や社会で経済発展を遂げましたが、その反面人間の生存能力は退化していることは明確です。
社会の中で生活することは極端に言えば保育器のなかで管に繫がれ栄養や水分を摂取している状態に近いです。
とても自立しているとは言い難い社会で活かされている儚い存在。
この状態が果たして幸せなのかどうかは人それぞれですが、遺伝子が脈々と受け継いできた生存能力を発揮しないまま一生を終える人もいるでしょう。
労働もそのうちロボットに置き換わり人間の居場所が無くなっていきます。
その分娯楽や創造活動へ移行すればよいですが、すべての人が順応できるとは限りません。
生産活動はすべてロボット任せで足腰が退化した人類はそれこそ物理的に自立できなくなり、繁殖行為も体外受精でロボット任せになる、そんなSF小説のような世界が実現したら恐ろしいです。
人類の発展は突き詰めると何もせず何も考えなくても生きられる究極の無を追い求めているのかなとさえ思います。
人間も自然の一部と考えると自然の摂理でそのように導かれているのか、それとも人間の横暴なのかは定かではありません。
そうして日々生存能力を失いながら生きているのだということを自覚し、ささやかに抵抗してみせるのも面白そうです。
社会や道具に依存して中身スカスカの人間か、何も持っていないようで野生本来の能力を内に秘めた人間、あなたはどちらを選びますか?
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