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シムピープル (ザ・シムズ1) 25周年に復活した名作ライフSLGから資本主義の厳しさを学ぶ

火事になった自宅
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シムピープルが25年ぶりに復活

2000年という節目の年にMAXIS社から発売されたシムピープル (ザ・シムズ1) が25周年を迎えて、かつての名作である『シムピープル (ザ・シムズ1) 』と『ザ・シムズ2』がザ・シムズ レガシーコレクションとして現代に蘇りました。

レンダリングエンジンが更新されましたが、中身のシステムは当時のままなので当時のMODがほとんど動作するのは喜ばしいことです。

特に初代のシムピープルはまだ荒削りな部分が多く、ポップな見た目をは裏腹にかなりシビアなプレイが求められます。

シムたちが使う独自通貨のシムオリオンを1ドル換算した時に宅配ピザ1枚が40ドルになります。

日給100ドル以下の仕事をしているとピザだけで半分近くを失うので非常に高価な食べ物です。

かといって自分で料理しようものなら簡単に火事になり焼死してしまうこともあるので、シムの空腹を満たすのも一苦労です。

開発者のウィル・ライトはシムシティシリーズの生みの親ですが、彼自身も1991年にオークランドヒルズ火災で自宅が全焼した経験を持っており、その時いちから家を作り上げる面白さを知り作品にも活かされています。

シムピープルは精細なドット絵で表現された見下ろし視点のゲームなので、続編よりも箱庭感が強い作品となっています。

シムたちも表情を変えることはありませんが、それが返って創造力を膨らませてくれます。

仕事中は高速で時間が過ぎますが、家へ返ってくるとトイレや風呂はもちろん掃除の指示などをしないとすぐに生活が破綻します。

生活が回らなくなった家庭はゴミが散乱し、食べ物は腐って悪臭を放ち、虫が湧き、便器が詰まり、シムの精神と肉体が病みます。

より高給な仕事へ就くためにはスキルアップが必須ですが、心身の健康を保たないとスキル習得の勉強を拒むので、限られた時間のなかでいかに効率的に暮らすが重要です。

現実世界でも仕事が多忙すぎると他のことをする気力が奪われ、いつまでも負のループを繰り返すことは起きており、資本主義の厳しさを学ぶ教材としてはとても優れていると思います。

実際にシムシティが日本の学校で教材として使用された例があります。

ウィル・ライト氏
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シムピープルの本質

一般的にはシムズ2かシムズ3を最高傑作にあげる人が多いですが、シムズ2はシムピープルと比べるとかなりマイルドな作りとなり、シムたちも表情豊かでコミカルに動き回るので、よりゲームとしての楽しさを追求したかたちへ進化しました。

シムズ3はオープンワールドになり、よりプレイヤーの没入感が高まりましたが、シムズ3以降はウィル・ライトが関わっていないので実質別物だと考えたほうが良いでしょう。

シリーズを重ねるにつれて表面上の華やかさは向上しましたが、ゲームの核心となる部分についてはウィル・ライトの思想からは離れてしまった印象です。

シムピープルが四半世紀経っても面白く遊べるのは、ゲームの核心にある本質をしっかりとシステムに宿しているからだと思います。

己をゲームの中のシムに置き換えて、上空から俯瞰してみると案外同じように毎日あくせく動いていることに気付かされます。

シムピープルの世界には休日の概念がないので毎日出勤しなければいけません。

2日続けて出勤しないと首になりますが、1日だけなら自分の意志で休めるので、そこで体調を整えたりスキルアップの時間を作れます。

現実世界においても休日ダラダラと過ごすのではなく、何か中長期の目標を立ててそれに時間を使うことで生活を向上させる意識を持つほうがきっと有意義なはずです。

宅配ピザ1枚40ドルはまるで今のインフレしまくるアメリカ社会の現状を予兆していたかのような怖さがあります。

仮想空間でも資本主義の厳しさを味わいつつ、シムピープルの本質に触れてみたい人はぜひプレイしてみてください。

ゲーム

Posted by Coro