シームレスダウンはシームレス加工やシームレステープの劣化 (加水分解) により寿命が短い

最近よく見かけるようになったシームレスダウンですが、ダウンジャケット特有のモコモコ感が抑えられていたり、中に詰まったダウンや羽根が抜けにくい特徴を持っています。

普通のダウンジャケットは裁縫によって固定しているので少なからず小さな穴があり、そこから中身が出てしまうことは構造上さけられません。

シームレスダウンは針穴を開けずに生地を接着することで固定しているのでその心配がありません。

しかし接着剤としてポリウレタン樹脂が使われているため、3年ほどで劣化 (加水分解) が進みある日突然剥離してしまうリスクを抱えています。

ユニクロだろうが水沢ダウンだろうがポリウレタン樹脂を使用する以上この問題を避けては通れません。

ダウンジャケットの古着は80年代や90年代のものが平気で売られていますが、おそらくシームレスダウンの古着というものは確立できないでしょう。

メルカリなどで個人が販売している商品はただでさえ短命なシームレスダウンの寿命が削られている状態なので安易に手を出してはいけません。

私はパンツだろうがTシャツだろうが5年以上着ることを想定して買うので、5年持つかわからないシームレスダウンを買うなんてもってのほかです。

シームレスダウンはクリーニング店も拒否するほどでそもそもドライクリーニングNGであり、かといって水にも弱く使い捨てに近いです。

劣化したシームレスダウンを持ち込まれ剥離して文句を言われるくらいなら最初から拒否する方がリスク回避になります。

ユニクロが1万円台という低価格でシームレスダウンを販売し始めたことで、より身近な防寒具になりましたが寿命を考えると複雑です。

12,900円のシームレスダウンを3年着ると4,300円/年、30,000円のダウンジャケットを5年着ると6,000円/年。

仮に3年以内に加水分解が起きたりダウンジャケットを5年以上着ればその差はさらに縮みます。

ダウンや羽根が多少抜けたくらいでは着心地に変化はありませんが、接着部分が剥離すると中身が偏るので即着れなくなります。

今の時代このような服があまり推奨されるべきではないですし、しっかりと裁縫されたダウンジャケットを長く着る方がQOLが上がります。

ダウンの寿命ではなく樹脂の寿命に影響されるというのが何とも歯がゆい点で、高価なシームレスダウンは樹脂にもこだわっているかもしれませんが本質は同じです。

ゴアテックスのレインジャケットなどもゴアテックス自体は問題ないのに裏面のシームレステープが剥がれてボロボロになることが多いので、ポリウレタン樹脂から脱却すればさらに寿命が伸びると思います。

けれどメーカーとしては早く劣化して買い替えてもらう方が儲かるので、なかなかジレンマが解消されません。

古着として扱えなければリサイクルしない限りゴミとして処分するしかないので、この短命なアウターの製造を見直すべきではないかと思います。