万年筆をもっとカジュアルに楽しむ ラミーサファリやカクノを使えば高級品や古臭いイメージを払拭できる

現代の日本で万年筆を日常的に使っている人の割合はとても少ないです。

持っていたとしても記念品として頂き一度も使わずそのまま保管していることが多いです。

まず使うにはインクを別途用意しなければなりませんし、字を書く機会も減っているので扱いづらさがあります。

万年筆=高級品や贈り物というイメージが根付いており、実際に使うことまではあまり考えない奇妙な道具です。

万年筆は黒や茶またはダークトーンに金色のアクセントという、いわゆる仏壇万年筆と呼ばれるデザインが昔から変わらずに残っており古臭さの要因となっています。

仏壇万年筆は時代を経ても愛好家は存在しますが、子供から大人まで万人受けするようなデザインではありません。

もちろん好みは人それぞれですが高級感を追求するほど敷居が高くなってしまいます。

これまで万年筆に興味のなかった人の関心を引き付けなければ、万年筆市場はこのまま縮小するばかりです。

日本よりも万年筆との付き合いの長いヨーロッパでは、子供の頃から学校で万年筆を使う習慣があります。

日本では鉛筆で書いた字を消しゴムで消すのが当たり前ですが、ボールペンや万年筆では一度書いたものは消せないので、いかに答案用紙に美しく書くかという美意識の教育が行われています。

間違ったことを消してなかったことにする日本社会の隠蔽体質の根底には、このような教育方針の違いが関係しているのかもしれません。

失敗やミスを隠して表向きには綺麗に取り繕うのが上手ですが、すべてを認めたうえで反省して改善していくのは苦手なようです。

人生においてもテレビゲームのようなリセットボタンは存在せず、失敗したら斜線を引いて軌道修正しながら歳を重ねるのがその人の生き様です。

話が脱線しましたが子供の筆記用具として長い歴史を持つヨーロッパにおいて、万年筆はとてもカジュアルな道具であり肩肘張るものではありません。

その中でも特に人気のあるラミーサファリはモンブランやペリカンなど世界的な万年筆メーカーを生み出したドイツで作られ、バウハウスの機能美をコンセプトに掲げてデザインされた革新的な万年筆です。

軽くて丈夫な樹脂製ボディで持ちやすく合理的な形状に大きなクリップが付いたデザインは、従来の万年筆とは大きくかけ離れています。

ラミー製品の持つ雰囲気は独特で"西暦2000年になっても色褪せないデザイン"をコンセプトに作られたラミー2000もいまだ近未来的でラミーかそれ以外かという感じです。

低価格なうえにカラーバリエーションが豊富で毎年限定色が登場するので、初心者からマニアまで心を惹きつける魅力があります。

1980年から変わらぬデザインのロングセラーモデルで、万年筆に興味のない人でも目を引くような普遍的なデザインです。

通常はカートリッジ式ですが別売りのコンバーターを利用すれば様々なボトルインクが使えます。

2021年には原点回帰となる初期カラーが限定色として復刻され、改めてラミーサファリが注目を集めています。

最近では綺麗な発色のインクが増えているのでインク沼と呼ばれるほどインク集めに没頭する人も少なくありません。

実用品として申し分ない性能なのはもちろん、万年筆やインクのバリエーションが増えれば増えるほどコレクションしたくなるので、市場を活性化するには欠かせない要素です。

国内へ目を向けるとヨーロッパのように子供のころから万年筆に慣れ親しんでもらおうと、総合筆記具メーカーのパイロットが開発したカクノが2013年に登場しています。

ラミーサファリの価格はおよそ3,000円ほどで万年筆の中では比較的安い部類ですが、カクノはわずか1,000円ほどで買えるので大変リーズナブルです。

安かろう悪かろうではなく非常に書き味も良いので、これまでの万年筆の価値観を覆したと言って良いでしょう。

さらに対応するコンバーターを使えばラミーサファリと同じく無数のボトルインクから好みの色を選ぶことができます。

万年筆はボトルインクだとそうそう使い切れないので、非常に経済的な筆記用具だと言えます。

使用頻度が低いとインクが乾いてカピカピになり一時的にインクが出なくなりますが、染料インクであれば水に漬けておけば溶けて再び使えるようになります。

やはり万年筆はガシガシ使って常にインクを回してやると一番調子が良いです。

インク選びに迷ったらブラック・ブルーブラック・ブルーといったベーシックな色を選べば間違いありません。

シャープペンシルやボールペンに比べてインクが滲んだり、メンテナンスが必要で面倒に感じることもあるでしょうが、それらを含めて楽しめるのが万年筆の良さです。

紙に字や絵を書くためにペンを持つのではなく、万年筆の書き味を楽しむために机に向かうのはなんと優雅な時間でしょう。

他の筆記用具ではどうしてもそれなりの筆圧が必要なので長時間書くと手が疲れますが、万年筆はサラサラと紙の上にインクを乗せる感覚なので疲れにくいです。

筆圧の弱い子供でも安定して字がかけるというのは万年筆の特徴ではないでしょうか。

世界的に子供の筆圧が弱まっているという問題もあるようですが、ほどよく脱力することも大切なので心地よい筆圧が自然と身につきます。

他の筆記用具も日々進化して使いやすくなってはいますが、それでも万年筆のサラサラやカリカリとした独特の書き味とは違いがあります。

どれだけデジタルに置き換わる社会になっても万年筆による手書きの楽しさは失われてほしくないなと思います。

最初の一本として間違いないのがラミーサファリ EF(極細字)。とにかく手軽に始めたいならカクノ F(細字)をおすすめします。