日本の照明は明るすぎる?暗闇を排除しすぎると日本文化の侘び寂びや幽玄さが失われる

夜中に道を歩くと歩道に沿って街灯が点々と地面を照らしており、その照明もいつしか蛍光灯からLEDライトに変わり突き刺すような光に変わりました。
室内に入っても天井の至るところに照明が設置され、まるで暗闇を排除するかのように昼夜問わず明るい空間を作っています。
暗闇はどちらかと言えば不気味で危険というイメージが自然と植え付けられています。
たしかに夜道を歩くときに街灯がないと足元が見えず不安なのと防犯の役目も果たしているので一概に悪いとは言えません。
しかし夜道を一人で歩かざるを得ない状況を作り出している現代社会にもっと違和感を抱かないといけないのかもしれません。
高度経済成長期に続々と家庭に生活家電が増え、とにかく明るいのが良くて暗いのは駄目という価値観が刷り込まれました。
白熱電球なんて暗いものよりすべて明るい蛍光灯に取り替えた方が家電メーカーや電気屋が儲かりますが情緒は失われました。
人々が家に帰ってもやることと言えばテレビにスマホにパソコンと明るい画面に釘付けの毎日です。
私自身これらのテクノロジーの恩恵をもろに受けているので、今更この環境を変えようとしても難しいでしょう。
日本人は欧米人に比べて瞳の色素が濃いので、常にサングラスを掛けているような状態です。
それ故に室内だともの凄く暗く感じてしまい、ひたすら照明で明るくしても眩しくないため、それが行き過ぎてしまった可能性があります。
我々が昔ながらの日本家屋へ訪問する機会はそれほどありませんが、神社仏閣や茶室には薄暗い場所が残されており、それが非現実的な雰囲気を生み出しています。
漆器や金箔をあしらった工芸品も煌々とした灯りの下より、薄暗い場所で見る方がより美しさが引き立ちます。
昔の人は自ら暗闇を作り出しそれを上手くコントロールすることで日本文化を築き上げ、侘び寂びや幽玄といった表現にふさわしい独自の美学を追求してきました。
国宝茶席三名席の待庵・密庵・如庵はどれも極めて質素な作りで、障子から柔らかな光が入る程度の薄暗さで茶を嗜むことに美しさを見出していました。
茶室に限らず文芸・絵画・芸能・建築等あらゆる分野で暗闇が効果的に取り入れられています。
見せたくないものを隠して見せたいものを引き立てる暗闇を排除するのが果たして正解なのか、4K画質で俳優の毛穴や産毛まで見えてしまう違和感に近いものがあります。
明るすぎる場所だと見えなくて良いところまで見えてしまい、常に交感神経が刺激されるので脳がリラックスできません。
もし自宅で少しでもリラックスしたいのであれば、照明を控えめにして自律神経のバランスを整えましょう。
深夜まで明るい場所で過ごし世界ワースト1の睡眠時間である日本人は他のどの国よりも暗闇を遠ざけて生きているのかもしれません。
これでは睡眠時間を削って経済を回しているようなものなので、こうした事実が幸福度の低さにかなり影響していると思われます。
日の出とともに起床して元気に活動し、日が沈んだら家に帰り薄暗い部屋でリラックスして眠りにつく。
そんな暮らしができれば理想ですが、現代人はついつい夜ふかしをして脳を酷使してしまいがちです。
理想へ近づくために普段の生活の中で少しだけ暗闇を意識して取り入れると、明るさ至上主義から抜け出せるはずです。








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