なぜNo Man’s Skyは失敗したのか? 期待から失望へ高すぎたハードル
広大な宇宙の片隅に放り出され1800京個以上あるという自動生成された星々を巡る宇宙探索ゲームとして期待されていたNo Man’s Skyですが、大半のプレイヤーが抱いていたものとはかけ離れた作品でした。
ほぼ無限の宇宙と言って過言ではないほどスケールの大きいマップですが、初めは新鮮に感じても数十個も回ればある程度パターン化された情報が目につくようになり途端に飽きがきます。
自動生成マップを使ったゲームで常に懸念されるのが、どこへ行っても変化に乏しくどんなに広大なマップでもコピペされた世界では薄っぺらいという事です。
高すぎたハードル設定
発売されてから思えば単にユーザー側が期待しすぎていただけかもしれません。
わずか4人だけのインディーズ開発者で作り上げたゲームとしては立派です。
しかしフリーズなどの致命的な不具合も多く、バグの修正で新しい要素を追加するどころでは無さそうです。
PVと実際のゲームが違いすぎて誇大広告違反の疑惑で調査も受けています。
『No Man’s Sky』、過去のインタビューなどから「実装されなかった要素」リストがユーザーによって作成される | AUTOMATON
宇宙探索ではなくもっとカジュアルなお散歩ゲームとしてマーケティングをしていればここまで不評になることはなかったでしょう。
もちろん現状の仕上がりでも十分に楽しんでプレイしているユーザーもいます。
完全なる孤独な宇宙で65daysofstaticの手がけた良質なサウンドトラックを聞きながら惑星を彷徨う感覚はこのゲームでしか味わえませんから。
それほど代わり映えしないマップでもわずかな変化を求めて旅できる感受性の豊かな人には最高のゲームでしょう。
このゲームにいわゆるハクスラ (ハックアンドスラッシュ)的な反復運動の心地よさを感じるという意見もあります。
惑星を巡って資源を掘りNPCと売り買いしてお金や資源で宇宙船を強化する基本的にはこの繰り返しです。
私もハクスラ好きですが個人的にはそれなら単純に正統派のハクスラを遊んだほうが有意義かなと思います。
No Man’s Skyはゲーム性とリアル性のどちらも底が浅いので、これがいまいちゲームに没頭できない原因かもしれません。
ゲーム性としては宝探しのような採掘要素がなくすぐにマンネリ化してしまうし戦闘要素も乏しい。
リアル性についても惑星が同じバイオームで構成されていたり、恒星と惑星の概念もなく川や火山や砂漠や氷土といった起伏に富んだ地形が皆無で単調です。
採掘がメインなのでもっと病み付きになるような一攫千金のギャンブル性も持たせたり、とことんリアルを追求して地味だけど探索しがいのあるマップを構築できたら名作となったでしょう。
どちらにも振り切れず中途半端な印象で、製作段階で実装されていた要素が削られているのを見ると、DLC商法もしくは大風呂敷を広げすぎたのではないでしょうか。
理想とする宇宙探索ゲーム
個人的に思い描く宇宙探索ゲームとしては次のような要素が欲しいです。
せっかくコンセプトの良いゲームなので、もう少し世界観に没頭できるような要素を散りばめてあげるべきです。
- 作り込まれたマップ (自動生成ならなお良し)
- 恒星・惑星・衛星などが重力で結合されている
- 自転・公転による気候変化
- 惑星内での複数バイオーム
- 拠点建設
- 豊富な探索要素
- オーロラなどの自然現象
- 文明や遺跡
- 適度なサバイバル要素
- 突発的なイベント
- etc…
正当な評価と今後への期待
惑星ひとつが大きいので自動生成されたコピペ宇宙を探索するよりも、しっかりと作り込まれた数百個の惑星を舞台にした方が面白くなったかもしれません。
お散歩ゲームとしてもPVに出てくるような美しい惑星にはなかなか出会えないので、スクリーンショットを撮りたくなるような景観が少なく観光するだけで疲れてしまいます。
定価6000円超えという強気な価格設定だけれど、中身はアーリーアクセス並のクオリティでは文句が出るのも仕方がありません。
小規模開発のインディーズゲームとして半額程度で販売されていたら、これほど不評にはならなかったでしょう。
どうしようもないクソゲーというわけではなく、今後バージョンアップされる見込みがあれば化ける可能性も秘めているので、セールで値下げされたら買ってみるのも良さそうです。
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