老子の道教 (タオイズム) 混沌とした世の中を水のように生き抜く処世術
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老子は中国の春秋戦国時代に存在したとされる哲学者で、道教 (タオイズム) の思想は現代でも広く認知され、人生哲学・政治・戦略・宗教など様々な分野に影響を与えています。
今まで社会の根幹をなしてきた秩序が崩壊し、変革の時代へ突入していく世界観は現代に通ずるものがあります。
何百年・何千年経っても人々の心は変わらず、人生に悩んだり将来への不安を抱えながら生きています。
道教はそんな人々が混沌とした世の中を生き抜くための方法を指し示しています。
儒教の始祖として大々的にまつり上げられた孔子に比べ、実在したかも定かではない謎多き人物です。
老子と荘子による老荘思想は多岐にわたるためすべてを把握するのは大変ですが、その根底には無為自然であることが前提となっています。
無為自然とは何もしないことではなく、この世の原理原則にしたがった生き方で、その中でいかに精一杯生きるかを示しています。
道教は仏教との関わりも深く日本に伝わる禅の思想と親和性が高いです。
老子の書物には足るを知る者は富むという言葉が載っており、本当の豊かさは満足を知ることであると説いています。
ものに執着することなく必要最低限のものだけで暮らすミニマリストがこれに近い思想を持っています。
老子の名言や格言には水に関係する言葉が多く、道教を理解する上で水は欠かせない存在であることがわかります。
最上の善なるあり方は水のようなものだ。水は、あらゆる物に恵みを与えながら、争うことがなく、誰もがみな厭 (いや) だと思う低いところに落ち着く。だから道に近いのだ。
天下に水より柔弱なものはないが、しかも堅く強い者に打ち勝つのに水よりまさるものはない。
泥水もそのままにしておくときれいな水になる。
河や海が数知れぬ渓流の注ぐところとなるのは、身を低きに置くからである。その故に、河や海はもろもろの渓流に君臨することができる。
時代が大きく動く中で従来のかたちを変えられないままの人は、新しい時代に対応できず苦労するのは目に見えています。
一見弱々しく思える水の方が身軽に動けあらゆる形状に変化し、柔軟に対応することで生き抜くことができます。
遥かな山の頂を目指すのが儒教であれば、道教はどこよりも低く潤沢な水をたたえる海のようです。
人は生まれてから死ぬまで常に他人と比較され、それによって悩んだり大きなストレスを感じることがあります。
道教を理解すれば自分自身との対話へ重きを置くようになるので他人の意見や動向が気にならなくなります。
鍼灸や整体も道教を取り入れており、血液の流れが悪いと病気になるという発想が生まれました。
人体は約60%が水分で構成されており、血行を良くして悪い水を体外へ排出させることで健康な体にするというのが、思考にも当てはまるのだと思います。
毎日テレビやネットから膨大な情報が発信され情報過多になりがちですが、これが脳であれこれ処理しようと混乱してしまう要因です。
水は淀みなく流れ続けるのが自然であり、人間もそれに抗うべきではないというのが真理でしょう。
道という概念は抽象的に思えるかも知れませんが、意外にも現代物理学と類似していることが多く決して偶然ではないことが解明されています。
こんなご時世なので毎月のように自己啓発本の新刊が発売されていますが、我々が生まれるずっと前から諸子百家のような思想家たちがさんざん語り尽くされてきました。
改めてそうした先人のたちの思想に触れてみると現代をより生きやすくなるでしょう。
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