レトロゲームが枯渇!?越境ECで国内流通が終わる可能性

目次
なぜ今「越境EC」が爆発的に広がるのか
2025年9月30日、メルカリは「越境EC事業の新戦略」を発表し、世界共通アプリ「メルカリ グローバルアプリ」の提供を開始しました。まずは台湾・香港での提供から始まり、今後3年以内に50以上の国・地域、中長期的には100以上への展開を目指すとしています。
このアプリの肝は出品者が国内でふだん通り売るだけで自動的に“世界市場向けリスティング”が可能になる点です。
すなわち国内で売られていた中古ゲーム、レトロゲーム、コレクターズアイテムが、言語・決済・配送のハードルなしに世界中の買い手に届くようになる。
これまでは仲介業者や輸出代行を介したり、言語・通関・決済の壁があったため、越境購入は手間とコストが伴っていました。
さらにメルカリは2026年には「全品検品」「あんしん鑑定」など品質保証や発送サポート強化にも乗り出す予定。決済から配送、通関、品質管理までワンストップで扱う体制を整えるというものです。
こうした整備が進むことで日本国内でふだん売られていたレトロゲームが、そのまま世界のコレクターやファンの手に渡るハードルがグッと下がります。言語の壁を超えて非常に手軽に買えてしまうことが越境EC拡大の本質だと思います。
どれほど拡大しているか — データが語る「勢い」
- メルカリによれば、過去数年で越境ECの流通総額は約15倍に拡大。2025年時点で、年間900 億円超規模に達している、という報告があります。
- 今回のグローバルアプリ公開によって、越境で購入できる商品の“幅”と“ハードルの低さ”が一気に拡大。特に、エンタメ・ホビー領域(ゲーム、アニメ、フィギュアなど)に注力する、という明言がなされており、レトロゲームやコレクターズアイテムも当然その対象です。
- さらに、国内事業者側も、従来の「メルカリShops」での操作で海外に販路を拡げられるよう、越境EC基盤が整備されるため、これまで「輸出意識の低かった個人ショップ」や「中古ショップ」も気軽に国際販売に乗り出せるようになる。
こうした条件がそろい「量的」「制度的」に越境ECが “当たり前” になるフェーズに入ったと評価できます。
レトロゲームが枯渇する懸念とリアルなシナリオ
供給量が限定された中古/コレクター系ゲームは奪い合いに
レトロゲームの多くは新品流通が終了しており、中古やコレクター市場でしか手に入らない希少資産です。そうした“一点モノ”“希少性あり”のソフトやハードが、国内だけで回るのではなく、世界中の買い手を相手にされるようになると、当然「供給量」と「価格」に影響が出ます。
つまり、国内コレクターやファンの間で回っていた在庫が、越境需要で世界に流出してしまえば――国内での入手は難しくなり、「レトロゲーム文化」が国内で持続しづらくなる可能性があります。
先行購入されやすい構造 — 国際バイヤー有利
越境ECでは「海外ユーザーが先に買う」ことが可能。特にレトロゲームをコレクターズアイテムとして狙う人たちにとって、日本国内で販売された瞬間に、海外のバイヤーに買われてしまう――というシナリオは容易に想像できます。
これまで「国内のフリマやショップでじっくり探す」ことで手に入ったゲームが、一瞬で世界中に流れてしまうかもしれない。それを思うと「国内でのコレクター文化」「遊び・保存文化」は、ある種“終わり”を迎えるという言い方も過言ではないでしょう。
価格高騰や入手困難、文化の断絶につながる
流通量が減り需要がグローバル化すれば価格は上がりやすくなります。特に状態の良いもの、希少ソフト、初回限定版、地域限定版などは奪い合いになりやすく価格高騰が加速。
また、国内での気軽な遊び、思い出の共有、中古ゲームショップでの発掘といったカルチャーとしてのゲームが、コレクターズ市場や転売市場中心に変質するリスクもあります。単なる遊ぶゲームではなく価値ある資産やコレクターズアイテムとしての側面が強まり「遊び」の機会そのものが減るかもしれません。
“終わり”は終わりじゃない — 変化としての可能性
ただ、「枯渇」「終わる」という言葉を“衰退・喪失”の意味だけで捉えるのは、少し悲観的すぎるかもしれません。むしろ、今回の越境ECの拡大は、日本のゲーム文化がグローバルに再定義される機会だとも言えます。
- 海外のファンやコレクターが、日本独自のレトロゲームを正規もしくは安全な形で入手できるようになることで、日本のゲーム文化の“国際的価値”が高まる可能性。
- 国内のショップや個人が、希少ゲームを保存・メンテナンス・修復したり、コンディション重視・コレクション向け管理を行うことで、「ただの流通品」を「文化遺産」的価値のあるものとして維持する動きが生まれるかもしれない。
- 仮に国内向け流通量が減っても、「保存文化」「アーカイブ文化」「コレクター文化」が進化し、次世代にゲームの歴史や思い出を伝える新たな仕組みができる。
つまり、変化の中で「枯渇」「終わり」がそのまま失うことを意味するわけではなく、「供給主体・流通の枠」「価値の定義」を変える“転換点”になる可能性もある、ということです。
私たちに問われること — 文化として何を守るか/どう活かすか
今回の越境EC拡大の波は、単なるビジネスの変化ではなく、“文化資産としてのレトロゲーム”の未来に関わる大きな問いを投げかけています。
- 「流通のしやすさ」を優先して、希少ゲームを世界に吐き出すか。
- それとも、国内でのアクセスや保存、コミュニティ、遊び文化を守るためのルールや倫理、慣習を作るか。
- あるいは、両者を両立させる新しい仕組み――たとえば、保存用/プレイ用/コレクション用を明確に分ける、正規鑑定・保存制度、アーカイブの整備――を模索するか。
コレクターやファン、ショップ、そしてプラットフォーム運営者――すべての関係者が、これからのレトロゲーム市場やゲーム文化について、もう一度意思を持って考える必要があると思います。
枯渇は警鐘この転換点を見逃すな
「レトロゲーム枯渇」「越境ECで終わる」という言葉は、決して単なるセンセーショナルなキャッチコピーではなく、現実的な「流通/文化」の危機と可能性の象徴です。
私たちが今その変化にどう向き合うか。単に流れていくのを見過ごすか。あるいは、保存・管理・共有という意識を持って、この文化を未来に受け渡す基盤を作るのか――。
これは単なるゲーム好きの問題ではなく、文化の価値、過去と未来をつなぐ責任の問題だと思います。








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