メガソーラーと熱海土石流の因果関係はあるのか?ゆるい規制で全国各地に危険な場所が点在している
2021年7月2日夜から3日朝にかけて東海から関東の太平洋側で記録的な大雨となり、静岡県の熱海市では大規模な土石流が発生し甚大な被害が出ました。
土砂崩れの危険が低いとされていた場所でこれほどの災害に見舞われた背景には、土石流の発生付近で行われていた山林開発の影響が関係しているのではないかと調査が進められています。
日本では平地が少ないので山の斜面に生えている木々を伐採して、そこへソーラーパネルを敷き詰めるメガソーラー事業が全国各地で行われています。
ソーラーパネル自体の老朽化や地滑りで斜面を滑り落ちてくる危険性もありますが、本来ならその土地に根を伸ばし大量の雨水を蓄えるはずの山林が失われたことによる土砂災害リスクの増加が一番の問題です。
現地の航空写真を確認するとまるで山を引っかいたような更地があり、麓には民家が建ち並んでいるという状態です。
ただ森林をよくよく見ると一面杉林というわけではなく、何種かの樹木が入り混じっている山林のようです。
人工的に植林された杉やヒノキは根張りが浅く、地滑りを起こしやすいと言われています。
これは樹木の種類と言うよりも苗木を作る際に、自然下であれば真っ先に地中深くへ伸びる主根が未発達なまま育つので、地盤が緩むと自身の重さを支えきれずに倒れやすいのではないかと思います。
盆栽のように浅い鉢で育てる際は真っ先に主根が切り落とされ細くて浅い根が好まれます。
主根の代わりに根元を針金でガチガチに固定するので鉢の中では倒れませんが、自然下だといざという時に踏ん張りが利きません。
挿し木で作られた苗も同様に主根が無いので強風や地盤の緩みであっさり倒れてしまうことがあります。
20世紀末頃からスギ山林の土砂崩れが多く聞かれるようになったことで、スギは根が浅いとの風説が語られるようになったが、これは戦後復興期から高度成長期にかけての木材供給不足時代に、元来崩れやすい急斜面や岩層上の表土が薄い箇所にまで植林を行ったことが原因であるともいわれる。
スギ – Wikipedia
浅根にされたのは人間の都合であり、種からしっかりと育った樹木はあっさり倒されるほど弱くないです。
熱海の土石流は広葉樹林帯で地盤がしっかりしてそうな場所で発生しているので、やはり山林開発影響を無視できません。
私の住んでいる地域でも昔から綺麗な湧水をたたえていた場所がありましたが、その山の頂上付近で山林開発が行われたことで湧き水が枯渇した人災がありました。
自然は絶妙なバランスで成り立っており、牡蠣の養殖と山の腐葉土が関係しているような、いっけん関係の無さそうなことが巡り巡って繋がっていることが多いです。
ソーラーパネルもエコロジー目的というより利益を生み出すための道具に過ぎず、山林開発が絡むとその地域の環境バランスを大きく変えてしまう危険性があります。
墓地やゴルフ場なども山林を切り開き人工的な環境にするので違和感はありますが、墓地であれば下水道が整備されていたり、ゴルフ場も芝生や人工林を植えて地肌が剥き出しではないので、更地にソーラーパネルを置くだけよりも土砂災害のリスクは低いでしょう。
近年の気候変動によって局所的な大雨や超大型の台風が起きやすくなっており、今までは何とか耐えられた場所でも耐えきれずに土砂災害になることが珍しくありません。
メガソーラーについては従来の規制のままだとまた別の場所で同様の土砂災害が発生する可能性が高いので、因果関係に関わらず早急な対策が必要でしょう。
もしいい加減な施工や無計画な山林開発によって多くの命が奪われたのだとしたら悔やんでも悔やみきれません。
熱海土石流のように不運が重なることは全国どこでも起こり得るので、同じ過ちを繰り返さぬよう規制を強化して欲しいです。
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