銅の錆 (緑青) は猛毒であると勘違いされているが実は無害に等しい
10年玉や銅製品を湿気た場所に放置したり長年雨風に晒されると銅が錆びて茶色から青緑っぽく変色します。
これは緑青と呼ばれ銅が酸化することで生成され、銅の表面にだけ薄く皮膜を作り内部の腐食を防ぐ効果があります。
鎌倉大仏や自由の女神などはこの緑青によってより美術品としての価値が高まっています。
また日本の歴史ある建造物の屋根材には銅が使われていることが多く、耐久性と美観を兼ね備えている優れた素材だと言えます。
緑青を帯びた美術品を遠目で見るのは平気でも身近にある銅が変色していたらなぜか毒々しいと感じてしまいます。
見た目は明らかに健康を害する色ですが、実際は緑青による健康被害は無いに等しいそうです。
冷静に考えれば硬貨や調理器具などに多くの銅製品が作られているので、錆びたら猛毒が発生するような素材であれば危なくて使えません。
例え緑青が発生したとしても水には溶けないのでまず体内へ取り込まれることは無いでしょう。
それどころかインドの伝統医学であるアーユルヴェーダでは朝一番に銅の容器に一晩入れた水を飲むことが推奨されているほどです。
銅といえば足尾銅山鉱毒事件のような悪いイメージが浮かびますが、鉱山には様々な有害物質が存在するのでカドミウムや硫酸といった強力な有害物質と銅は分けて考える必要があります。
生きるために欠かせない塩も摂りすぎれば体に悪いように、少量の銅イオンはむしろ様々な皮膚疾患や腸内環境を整える働きがあります。
古来より『銅壷の水は腐らない』と言われているように銅イオンには高い殺菌作用があります。
銅は人が生きていくうえで欠かせない必須元素であり、赤ちゃんの粉ミルクにもわざわざ銅を添加するほどです。
鉄分やカルシウムは大々的に宣伝されますが、前述した通り我々の認識の低さから銅にはあまり関心が向きません。
インドでは昔から積極的に銅イオンを摂取しようとする意識が高いことが感じられます。
ただ銅のコップを使う場合に常温の水なら平気ですが、白湯を飲もうとすると熱伝導率の高さで熱くて持てなかったり唇を火傷しないよう注意しましょう。
巷には様々な健康法があふれていますが、何千年も前から飲まれている銅の水は今も変わらない長生きの知恵です。
日本では中国から伝えられた漢方医学ほど普及していませんが、21世紀になって日本でも研究が進められており、アーユルヴェーダがより身近な存在になるかもしれません。
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