盆栽に興味があるなら1日でも早く始めた方が良い理由

多くの人が盆栽に抱くイメージは老後の趣味という感じですが、余生に楽しむにはあまりにも奥が深すぎるため後悔する恐れがあります。
日本ではこのステレオタイプが浸透していますが、海外ではこの盆栽文化に目をつけた人々が老若男女問わず趣味として楽しんでいます。
日本で盆栽文化が廃れた理由としては戦時中に多くの名品の管理が行き届かずに失われ、高度経済成長で一度は隆盛したものの、不況や労働時間の増加や住居事情の変化などで下火となりました。
最近になって狭いベランダでも栽培しやすい小品盆栽やミニ盆栽を育てる人が増えてきましたが、まだまだ広く認知されているとは言えません。
老後の趣味になったのは高度経済成長期の盆栽ブームを体験した世代がそのまま続けているからという見方もできます。
他にいくらでも娯楽があるのにあえて地味な盆栽を趣味に選ぶのは変わっているといえば変わっています。
しかし世の中の大きな潮流としてただ消費することに行き詰まり、自ら創作することに価値の転換が起きているので、盆栽は後者に該当する趣味だと思います。
なんでも身近なものから作り出す時代から大量生産と大量消費で欲望を満たす時代を経て、再び自ら創作する楽しさを見出す時代へと移り変わろうとしています。
盆栽はひとつとして同じものがなく、買ったものでも長年持ち込む (鉢で栽培する) ことで自分の理想に近づけていけるので創作に終りがありません。
皆が思い浮かべる盆栽の姿は何百年前からあるものではなく、現代の美的感覚に合わせて作られており、例え古くからある名品であっても元はまったく違う樹形でした。
アクアリウムでも階段状に規則正しく植えるダッチアクアリウムからより自然なレイアウトのネイチャーアクアリウムへと流行が移り変わるように盆栽も時代によって変化しています。
盆栽は生き物なので骨董品や美術品のように固定された価値ではなく、時間と共に変化するアートであることが魅力です。
たった一年の中でも春夏秋冬と目まぐるしく姿を変える様に四季の訪れを感じ、小さな鉢のなかでそれをコントロールする楽しさがあります。
盆栽に興味がわいても始める機会をうかがいながら老後まで待っていては大きな機会損失です。
それでは盆栽を1日でも早く始めなければならない理由をこれから説明します。

目次
盆栽を早く始めた方が良い理由
失敗と分析を繰り返す年齢
初心者は盆栽の育て方のコツを掴むまでは盆栽の調子を落としてしまったり、最悪枯らしてしまうことも多いでしょう。
何度も失敗を繰り返すなかで自分なりの答えを導き出す過程は避けて通れない道なので、老骨に鞭打つよりも若くして多くの失敗を経験した方が後々楽です。
失敗をもとに分析して蓄積されたデータは一生役立つので、歳を重ねるごとに盆栽をコントロールしやすくなります。
海外人気で国内資源が減っている
海外から外国人が盆栽を買いに来たり、業者が大量に仕入れることで国内の資源が年々減り続けています。
具体的には良品とされる鉢や素材が手に入りづらくなったり値上がりしているので、海外人気が高まれば高まるほどその傾向は強まるでしょう。
昔のように山採りして大量に売り捌く時代でもないので、生産者が丹精込めて育てた素材がなければすぐに枯渇してしまいます。
中国の盆景をもとに日本で独自に発展した盆栽も今やお金持ちの中国人が買い漁っているという状態です。
樹木の成長には時間がかかる
ある程度年月をかけて栽培された盆栽を管理するだけで満足なら良いですが、種や苗木からじっくりと育ってたいと思っても老後だと時間との勝負になります。
若くして始めればそれだけ時間的な余裕があるので、盆栽をより長く深く楽しめることになります。
お金で盆栽や道具は買えますが、時間だけはどれだけ大枚はたいても戻ってきません。
時間経過で価値が高まる
盆栽を何年も鉢に持ち込んだり、空の鉢でも雨風にさらすことで時代がつく (年季が入る) ので観賞価値が高まります。
近代から現代まで続く盆栽の価値観は侘び寂びに重きが置かれているので、幹の荒々しさだったり、根張りの強さなど、それと調和する風化した鉢が好まれます。
例え安価な鉢でも買って屋外に放置しておけば、勝手に時間経過による上乗せがあるので、お金をかけたくないなら時間をかけましょう。
小さな鉢の中に自然の厳しさや雄大さを凝縮させたような佇まいが人々の心を動かすので、雰囲気のある盆栽は決して一朝一夕では作れないのです。
指導者やコア層の高齢化
盆栽は書籍や雑誌を読むだけでは伝わらない感覚的な部分が多いので、それを知る人が減ってしまうのは盆栽文化の衰退を意味します。
日本国内の盆栽生産者は海外向けに商売をすれば生き残るかもしれませんが、指導者やコア層の高齢化は顕著なので、次世代へ伝えていく取り組みが必要だと思います。
もし身近にそうした指導者と触れ合える環境があるなら、いつまでも存続するとは限らないことを意識しましょう。
まとめ
盆栽は松や梅といった樹木だけではなく、草物盆栽と呼ばれる山野草を植えた盆栽もあり、思っているほどハードルは高くありません。
それこそ自分だけで楽しむなら堅苦しい既成概念に囚われず好きなように楽しみましょう。
日が当たらなければシダや苔、水やりが面倒なら多肉植物、水切れが心配なら湿生植物を腰水で管理するなど、自然の風景を模して造形するという盆栽の定義から外れなければそれは立派な"盆栽"です。
せっかく庶民の文化として広まった盆栽なのに、このまま国内で衰退していくのは残念なことです。
現在の盆栽スタイルが意外に近代からだったりと、伝統というものはその時代に合わせてチューニングしながら進化するものなので、あまり肩肘張らずに一度盆栽と向き合ってみてください。








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