養老孟司は対物の世界に重きを置く 現代社会の肥大化した対人の世界は人疲れや不寛容の原因となる

東洋経済オンラインでの養老孟司「思い通りにならない時に人は試される」という記事が、現代社会が抱える問題の根幹を示唆していると感じました。
解剖学者の養老孟司先生については書籍はもちろんYouTubeでも動画投稿されているので、社会や人間の本質的な部分を学べる良いコンテンツが数多くあります。
養老先生いわく世界は大きく分けて"対人の世界“と"対物の世界“の2つが存在するようです。
現代社会は巨大な都市が形成され、東京のような超過密都市を有する日本では特に対人の世界が肥大化しており、それが人々に悪影響を与えて人疲れや不寛容の原因となっています。
SNSによって常に他人を意識したり比較される対象となることで不安やイライラが蓄積してしまいがちです。
メディアや創作物も対人を中心としたものが多く、養老先生はそのことに警鐘を鳴らしています。
対人の世界は本来世界を形成するごく一部の要素に過ぎませんが、現代人は対人の世界の出来事にほとんどのリソースを奪われています。
対人トラブルで病んだり絶望して自ら命を絶つくらい対人の世界にのめり込むことは危険な行為です。
私は根っからの虫好きです。虫の世界は「対物の世界」です。対物の世界はいつも平和です。野山に虫を捕りに行っても誰にも会いません。田舎の山の中なので、コロナ禍で出歩いていても、自粛自警団に叱責されることもありません。
人間は、人の世界と物の世界を行き来することでバランスを保ってきました。「対物の世界」を遠ざければ、「対人の世界」ばかりに目が向くのは当然です。それでは煮詰まって、感覚が干上がってしまいます。
対物の世界は自然の均衡がとれており、人間それに触れることで心を落ち着けることができます。
日本では八百万の神が坐すと言われるほど偶像崇拝が浸透しており、日本人は昔から対物の世界に重きを置く民族でした。
自然災害が多い国なので人間の無力さや自然の驚異を感じる機会も多かったでしょう。
それが近代化によって人間同士で競争しなければならなくなり、受験・昇進・見た目・貧富の格差など生まれてから死ぬまで常に対人を意識する日々を送っています。
しかし対物の世界があることを知りそこへ一歩踏み入めば、そこでは古来から続いてきた法則に基づいて動いており、個人が介入したところでどうにもならない世界が広がっています。
対人の世界と対物の世界どちらにせよ思い通りにならないことが起きるのに、対人になるとなぜかそれにストレスを感じてしまいます。
無意識に自分の力でどうにかできるという傲慢さを秘めているのかもしれません。
対物の世界に触れ寛容さを持った人は少々のことには動じず、あるがままを受け入れることで心身の健康を保っています。
対物の世界にまで視野を広げることで人生が格段に生きやすく豊かなものになるでしょう。
現代社会がもう一歩二歩先へ進むには都市の利便性だけでなく、対物の世界まで意識した教育や街づくりが必要になると思います。









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