充電バッテリーの落とし穴、良い製品を使い続けられないもどかしさ

2014年11月11日

charge battery
Photo by Ashley Sturgis

ロングユースを切り捨てた製品

私は昔から物持ちのよいほうだと思います。長年使っている製品はどこかしら劣化してきたり、調子が悪くなることがあります。それでも自分で修理できるところは修理し、消耗品の部分を交換しながらロングユース(長く使う)を想定した使い方をしています。

しかし最近の製品は小型化や多機能化により、狭いスペースのなかに複雑に回路や導線が組み込まれており、素人がメンテナンスするのが困難な精密さがあります。例えば古いマニュアルの自動車はちょっと機械いじりの知識があれば、自分でボンネット開けてメンテナンスしたり簡単な修理ならできました。

それが最新の車だと内蔵されたコンピューターに管理されており、下手にいじくり回すと故障の原因となるので、専門の整備士にお願いするしかありません。車のようにどんな車でも修理できる整備士がいればよいですが、電化製品となると各メーカーへ修理を依頼することになります。

また各メーカーが独自の規格でバッテリーもそれぞれ違っていたりすると、メーカーがその製品の修理の受付を止めてしまうと自力で修理することが困難になり、せっかく気に入っていた商品でも手放さなくてはならない結末になります。

乾電池の汎用性により名機がロングユースされる

携帯ゲーム機でもっとも有名であろうゲームボーイは今でも世界中で愛されています。ゲームボーイを分解すると驚くほど単純な構造になっており、当然メーカーのサポート期間は終了していますが、個人でメンテナンスがしやすい構造になっています。

またバッテリーに乾電池を採用しているので電池が進化すればバッテリー寿命も伸び、充電池も使えるのでコストパフォーマンスの問題も解消されました。もしこれが独自規格のバッテリーを採用し、メーカーがバッテリーの生産をやめてしまったら使えなくなります。

バッテリーを一番汎用性のある乾電池にした当時の開発者は間違いなくロングユースを想定していたし、長く愛される商品を目指して設計されたのだと思います。

独自規格バッテリーの弊害

製品の小型化により乾電池を使った製品よりも内蔵バッテリーを使った製品が増えています。電池を買いに行かなくてもコンセントから充電でき、乾電池よりも省スペースなので便利なことはたしかです。

メーカーが半永久的に交換用バッテリーを提供し続けてくれれば何の問題もありませんが、電化製品のサイクルは早くすぐに生産終了してサポートも永久ではありません。特にApple製品にその傾向が強く表れています。

ipod shuffle

これは私が初めて買ったApple製品のiPod shuffle 第1世代です。ディスプレイがないデザインの音楽プレイヤーとして当時は衝撃的でした。今でも十分にコンパクトに感じられ、小型化と操作性の釣り合いがとれた理想的なiPodのひとつです。いつまでも使っていたい、飽きのこない洗練されたデザイン。

iPod shuffleは後継機がいくつも出ていますが、1stで特に不満がないので使い続けています。さすがにバッテリーもヘタってきて、いずれバッテリーの寿命が尽きて使えなくなるでしょう。Appleへ修理に出すとバッテリーを交換する代わりに最新の製品が送られてきます。

そうじゃないだろというのが本音です。1stを使い続けることに価値を見いだしている人にとってあまりにも残酷な対応です。MacもOSが変わると以前使っていたソフトウェアが使えなくなるなど、あまり互換性が意識されていません。

Appleのコアユーザーに新しい製品を買ってもらえるので、ビジネス戦略としては良いのかもしれませんが離れていったユーザーも少なからずいると思います。製造段階から消費者の意識まで含めて消耗品として扱う傾向が強くなっている気がします。

ゲームボーイに関してもゲームボーイアドバンスSP以降は充電式のバッテリーになりました。バッテリーを消耗したらメーカーへバッテリー交換を依頼しなければなりません。

保証期間を過ぎればそれなりにお金もかかります。サポートしなくなればそれっきり使えなくなります。開発者はもう一度原点に立ち戻って製品と向き合ったほうがよいのかもしれません。ロングユースに耐えられる製品こそ価値があり、いつまでも愛されることに気づくべきです。