上勝町はゴミの資源化率80%以上の世界が注目するリサイクルタウン
上勝町 (かみかつちょう)は徳島県の山間にある小さな町で、1993年以前は高齢化が進むよくある田舎町でした。
この町が今リサイクルタウンとして世界中が注目する実験場であることはあまり知られていません。
実に資源化率80%以上という驚異の数字を叩き出しています。
環境省が発表している全国のリサイクル率が平均20%程度だと考えると、いかに上勝町が時代の最先端にいるか理解できます。
そんな上勝町も90年代前半頃まではゴミの焼却炉すらなく野焼きをしてゴミ処理を行っていました。
1993年に深刻化するゴミ問題を解決するため上勝町リサイクルタウン計画を策定し、町ぐるみでゴミを減らす目標を掲げました。
燃えにくい生ゴミは各家庭にコンポストや生ゴミ処理機を導入して、ほとんどの生ゴミを堆肥として再利用できるようになりました。
町に唯一あるゴミ集積所 (日比ヶ谷ゴミステーション)には住民が細かく分別して持ってくる生ゴミ以外のゴミが集められています。
高齢者の負担が軽くなるようボランティアやシルバー人材などの助けを借りてゴミの収集が行われています。
始めは住民にもゴミを洗って分別するの作業が面倒だと感じたり戸惑いもあったでしょうが、徐々にゴミに対する関心が高まり分別するのが当たり前のような意識の変化が起こりました。
とにかく分別は妥協することなく徹底的に行っており、40種類を超えるような分別を経てそれでも処理できないものだけが圧縮機で圧縮され県外へと運送されていきます。
2003年にゼロ・ウェイスト宣言を公表したことで、ゴミを処理して減らすだけではなくそもそもゴミを出さないような環境づくりを目指して2020年までに上勝町のゴミをゼロにするという決意表明がされました。
ゴミ処理を焼却よりも燃やさず減らすZero Waste (ゼロ・ウェイスト) という考え方
これには消費者・生産者・行政がお互いに協力し合い三位一体となって取り組まなければ難しいと思います。
町の女性たちが働き手となりゴミを再利用した商品を作ったりして、ゴミを収益化するような仕事も生まれました。
こうした取り組みは海外にも知れ渡りそれを聞きつけた海外メディアが取材に来ることもあるようです。
未来の子供たちに今ある自然やさらに豊かになった大地を残すために、手間暇かけてゴミを無くしていく試みが進行中です。
高齢化・過疎化に悩む地方の田舎が社会問題となっていますが、新たなイノベーションの拠点となる可能性も秘めているので、各地でこうした取り組みが広がれば面白くなりそうです。
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エントロピー増大法則があるから燃やすよりリサイクルのほうがエネルギーが必要
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