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自転車ツーリングとバイクパッキングの違い

自転車ツーリング vs. バイクパッキング
Photo by Gemini

荷物を積んで自転車で旅をする、というコンセプトは共通していても、バイクパッキング自転車ツーリングは、その成り立ちも、使う道具も、そして旅そのものの目的も、実はかなり異なります。

どちらが自分に合っているかを見極めるためにも、それぞれの本質をきちんと理解しておくことが大切です。

自転車ツーリングとは何か?

自転車ツーリング
Photo by Gemini

一方の自転車ツーリング(自転車旅行)は、ランドナーやツーリング専用車を使って長距離を旅する、歴史あるオーソドックスなスタイルです。基本構成はキャリア(荷台)+パニアバッグ

前後の車輪の両脇に大型のサイドバッグを装着することで、合計60〜100リットル以上の荷物を積むことも珍しくありません。

これだけの積載量があれば、快適なキャンプマットや本格的な調理器具、数日分の食料や着替え、さらにはノートPCまで持ち込む余裕が生まれます。日本一周や海外での大陸横断といった長期・長距離の旅において、このスタイルが支持され続けてきた理由はここにあります。

また、パニアバッグはキャリアにフックでワンタッチ着脱できる設計が多く、キャンプ場や宿泊先での荷物の持ち運びにも非常に優れています。

走行フィールドは主に舗装路です。重量級の装備を積んだ状態で林道やトレイルを走ることは想定されておらず、キャリアの横幅がある分、細い未舗装路では岩や木にバッグを当てるリスクもあります。

ただし重心が低く設計されているため、荷物を満載していても直進安定性は非常に高く、長距離を一定のペースで走り続ける用途に向いています。


バイクパッキングとは何か?

バイクパッキング
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バイクパッキングは、マウンテンバイクやグラベルロードバイクの文化から派生した、比較的新しいスタイルの旅です。最大の特徴を一言で表すなら、キャリア(荷台)を使わないこと。

その代わりに、フレームバッグやサドルバッグ、ハンドルバーバッグといった専用バッグ類を自転車のフレームに直接ストラップで固定し、車体各部のデッドスペースを徹底的に活用します。

このパッキングスタイルが生まれた背景には、走るフィールドの多様化があります。林道、トレイル、砂利道(グラベル)、泥道。

従来のツーリング車では立ち入りが難しかった未舗装路を走ることを前提としているため、荷物の配置もオフロード走行を妨げない設計になっています。

荷物が車体の中心軸に沿って配置されることで左右への振られが少なくなり、悪路でもバイクを正確にコントロールできます。

ただし、フレームに収められる容量には限界があります。一般的に積載量は30〜50リットル程度が上限で、必然的に持ち込む装備は徹底的に絞り込まなければなりません。

登山の世界で普及したUL(ウルトラライト)思想。軽量で高機能なギアを厳選するという考え方がバイクパッキングとの親和性が高いのはこのためです。


装備システムの違い

両者の差が最も明確に表れるのが、荷物をどうバイクに固定するかというパッキングシステムです。

バイクパッキングでは、車体各部の空きスペースに対応した専用バッグを組み合わせます。

三角フレームの内側に収まるフレームバッグ、シートポストに固定して後方に伸びるサドルバッグ、ハンドル前端に装着する円筒形のハンドルバーバッグ、そして行動食やスマートフォンをすぐ取り出せるトップチューブバッグやステムバッグ。

これらをパズルのように組み合わせて積載空間を作り上げます。

自転車ツーリングでは、金属製のラック(キャリア)が骨格となります。後輪の左右にパニアバッグを下げ、必要に応じて前輪側にも同様のセットを追加することで、前後重量バランスを取りながら積載量を増やすことができます。

ラック天面に括り付けるテントや大型荷物も、このシステムなら無理なく運搬できます。


スペック・特徴の比較一覧

比較項目 自転車ツーリング (Bike Touring) バイクパッキング (Bikepacking)
主な目的 長距離移動、快適なキャンプ、長期旅行 オフロードの走破、冒険、軽快な走行
主な路面 舗装路(アスファルト)、整備された砂利道 未舗装路(トレイル、林道)、グラベル、舗装路
適した自転車 ランドナー、ツーリングバイク、ロードバイク MTB、グラベルロード、ファットバイク
バッグの取付 金属製キャリア(荷台)にパニアバッグを装着 フレーム、サドル、ハンドルへ直接ストラップ固定
積載容量 非常に多い(60L〜100L以上も可能) 少ない(一般的に30L〜50L程度が限界)
荷物の重量制限 比較的寛容(重くても車体剛性でカバー) 厳格(軽いほどオフロードでの操作性が向上)
パッキングの難度 低い(大開口のバッグに放り込めるため楽) 高い(テトリスのように隙間なく詰める技術が必要)
車体の横幅 広い(サイドバッグが横に張り出すため擦れに注意) 狭い(木々の間や狭いシングルトラックも通れる)
走行感(ハンドリング) どっしりとした直進安定性。立ち漕ぎは不向き 軽快。ダンシング(立ち漕ぎ)もしやすい

それぞれのメリットとデメリット

バイクパッキングの最大の強みは、機動性の高さです。専用のダボ穴(マウント用のネジ穴)がないカーボンロードバイクやフルサスペンションMTBでも旅仕様にできますし、車体が軽いため急坂でも踏ん張れ、いざとなれば担いで障害物を越えることもできます。

スポーツバイク本来の走行感を犠牲にせず、スピーディーに旅ができる点も魅力です。

反面、荷物へのアクセス性の悪さは否めません。雨具を1枚取り出すにも、奥まで手を突っ込んでバッグをひっくり返す必要があることも珍しくありません。

また軽量ギアを揃えようとすると、ダウンシュラフやULテントなど初期投資がかさみやすく、お土産を買い込む余裕もほぼ残らない、という制約もあります。

自転車ツーリングは、快適性と安心感において圧倒的です。頑丈なキャンプ道具や食材を余裕を持って持ち込めるため、キャンプ地での生活の質が高く、長期旅行に向いています。ただしキャリアとバッグの自重だけで数キログラムになることも多く、システム全体が重くなりがちです。

また、フレームにキャリアを取り付けるためのダボ穴が必要で、対応していないバイクでは後付けアタッチメントを使うことになりますが、強度の面でやや不安が残ります。


どちらを選ぶか

週末の1〜2泊で誰もいない林道を抜けて野営地を目指したい、自転車の軽快な走りをそのまま旅に持ち込みたい。そういった志向を持つ人には、バイクパッキングが合っています。

一週間以上の休みを使って観光地やキャンプ場をのんびり巡りたい、夜は快適なテントでゆっくり過ごしたい、自炊にこだわりたいという旅をイメージしているなら、自転車ツーリングのスタイルが適しています。

近年は、リアにキャリアとパニアバッグを使いつつ、フロントやフレームにはストラップ式バッグを組み合わせるハイブリッドスタイルを選ぶサイクリストも増えています。

どちらかに決めなければならないわけではなく、自分が走りたいフィールドと旅に求める快適さのバランスによって、システムを柔軟に組み合わせていくのが、現実的には最善の選択肢といえるでしょう。

アウトドア

Posted by Coro