野糞は生命循環の一部で尊い行為 糞土研究会ノグソフィア伊沢正名の糞土師としての生き方

うんこの話

始めにお食事中の方は速やかにこのページを閉じて後ほどご覧ください。これからうんこの話をします。

人間が生きていく上で必ず行わなければならない生理現象が糞尿の排泄であり、生きとし生けるものすべて平等に発生します。

うんこは臭いし汚いというイメージがありますが、直前まで自分の体内に入っていた物でも排泄されれば厄介者になるのは少し切ないです。

コンビニのカップ麺でも高い値段を払って予約したレストランのディナーでも出てくるものは同じうんこであり、そこに大きな差は生まれません。

現代社会の過剰な清潔意識によりトイレはボットン便所から水洗式に変わり、うんこの臭いや汚れを素早く処理して目に触れないような仕組みになりました。

まさに臭いものには蓋をして極力うんこを遠ざけたいという意識が感じられます。

江戸時代にはむしろ畑の肥料として売買の対象とされ、ランク分けやブランドまであったそうなので驚きです。

うんこという物質のみを切り取れば、たしかに人間にとっては不快な存在かもしれませんが、生命循環の一部として考えると虫や微生物などの分解者が食べやすいように下ごしらえされた状態なので決して無駄ではありません。

本来の生命循環の観点から考えると糞尿はそのまま大地に返してやるのが自然ですが、わざわざ水では分解されにくいトイレットペーパーの主成分であるセルロースといっしょに水で流されるうんこはどんな気持ちでしょう。

21世紀なり身近だったうんこも遠く離れた地で処理されているかと思いきや、東京湾では大雨が降ると下水としてほとんどそのまま放出されてしまうような構造だと知り驚愕しました。

水洗式トイレによって目先の清潔感が優先され、見えないところでは汚染源となっているという笑えない話です。

もし東京オリンピックが無ければこのような事実も知ることなく日々過ごしていたかと考えると感慨深いものがあります。

糞土研究会ノグソフィア

1974年から意識的野糞を続けている伊沢正名さんが代表を務める糞土研究会ノグソフィアをご存知でしょうか?

伊沢正名さんは自然保護運動に取り組む中で生命循環の尊さを知りキノコ写真家から糞土師へとステップアップした面白い経歴を持った方です。

野糞を愛する立場なのでうんこに対して実にポジティブなイメージをお持ちで、野糞を通じて我が身を自然のサイクルに組み込もうとする意識が高いです。

都市開発が進むにつれて土の大地からコンクリートへ変わり、いわば野糞できる場所が減少しているので人と自然の分断化を象徴しています。

公園などの限られた土地に人々が押し寄せて排泄すれば、あっという間にうんこだらけになり富栄養化してしまいます。

十分な自然環境が整っていればうんこは速やかに分解され大地へと帰り、わざわざ人の手で処理しなくても生活できます。

山林に住む動物たちは水洗トイレなど使わないですし、それで地面がうんこまみれになることもありません。

いまの人口密度では人が自然の姿であるにはあまりにもキャパオーバーなのかもしれません。

すごく専門的な知識や目に見えない分解者の話をしても普通の人はなかなか興味を示してくれません。

しかしうんこの話題は老若男女問わず無関係な人はいないので、自分自身の問題として捉えやすいインパクトがあります。

近年は子供の間でうんこ漢字ドリルが大流行したりと、うんこに対するポジティブなイメージが少しずつ増えています。

ノグソフィアでは”人が自然に返せるのはウンコだけ”や”正しい野糞の仕方”などためになるテキストが掲載されています。

野糞に分解されにくいトイレットペーパーを使うのはご法度らしく、その辺に生えている草木の葉っぱで尻を拭えば十分と説明しています。

『伊沢流インド式野糞法』では穴を掘って野糞をした後に軽く水で洗えばOKというシンプルな方法に行き着いたようです。

富士山も一時期はトイレットペーパーが山肌にこびりつき白い川のようになっていましたが、バイオトイレの設置によりかなり改善しました。

我々は地球で育まれた生命を食べながら命を繋いでいますが、我々にできる地球へのお返しは糞尿だけなので可能な限り還元すべきです。

人間はこれまでの歴史で様々な発明をしてきましたが、人間が作り出せる最高のモノはうんこであると伊沢正名は述べています。

野生動物が山から人里へ降りていき田畑を荒らされる被害が増えていますが、一説には肥料として糞尿を撒かなくなったからだという説もあります。

犬が縄張りを主張したり情報交換として散歩中マーキングしますが、人間の縄張りを主張するための動物臭さが人間から失われた結果かもしれません。

自然が脈々と繰り返してきた生命循環を無視している現代社会は、何れどこかで支障をきたす恐れがあります。

これからは食べ物に感謝するだけでなく、うんこにも感謝の気持ちを抱いて暮らしましょう。