アメリカ海兵隊を辞めて禅僧になった男
瞑想との出会い
禅僧として生きる道を選んだスコットさんはもともとアメリカ海兵隊で航空技師の仕事に就いていました。
結婚し子宝にも恵まれ幸せな家庭を築いていたスコットさんに転機が訪れます。
スコットさんが当時25歳だったころ生後わずか4ヶ月の息子が突然息を引きとりました。
幸せだった家庭が瞬く間に崩壊し、妻や他の子たちとも離れて生活するようになりやがて離婚します。
一人になってしまったスコットさんは色々な場所へ行き様々なものに出会います。その時に瞑想というものに出会いました。
瞑想を通して知り得たことは私達は皆同じであるということ。軍隊で叩き込まれた国家同士や個人も一人ひとり違うという分離の考え方とは相反する思想に衝撃を受けました。
その後スコットさんは大学院で財政学を学びます。やがて銀行業務や法人財務に携わることになります。ブローカーや財貨トレーダーと呼ばれる仕事はまさにお金がすべての世界でした。
血の通っていないような人間たちが繰り広げる魂のこもっていないビジネス。その中でお金という魔物に振り回される人々を目の当たりにしました。
すぐにこの世界から離れたいという本能がはたらき退職することを選びました。そして瞑想をきっかけに思い続けていた禅僧になることを決意します。
彼の生活は普段の生活と密着しています。お寺には住まず住宅街のなかに身を置き、朝は自宅で瞑想、午後は駅前へ托鉢(生活に必要な最低限の食糧などを乞い、信者に功徳を積ませる修行)に行きます。
始めたころはただでさえ背丈のある男の顔が西洋人だったので珍しがられたそうですが、何度も通っているうちに馴染んだようです。
創造から平和は生まれない
週に一度は知り合いの禅僧のお寺へ数時間ほど坐禅を組みに行きます。坐禅をすることで精神を緩やかに整えることができます。
また過去や未来の時間軸からも解放され、あるべきその時に嵌め込んでくれるそうです。
人は常に知識を欲しあらゆる情報を詰め込んでしまいがちですが、事実やデータを学び技術や哲学を学ぶと物事の本質はただひとつだけであり、詰め込んだ情報によるストレスやプレッシャーから解放されます。
いかに知識の量が多くとも、経験に代えることはできない。
日本から遠く離れた外国からやってきた西洋人はそうした真理にたどり着きました。
私達は未来の中で考え、過去の中で考えがちである。私達があるべき時を過ごす時間はとても少ない。
生活する中で様々な考えや欲望が頭に浮かびます。しかしいちいち立ち止まって判断せず放っておくことが大事だと言います。
人々はより便利により平和で豊かな生活を目指しこの世界を創造してきました。しかし現実は多くの犠牲を払いごく一部の人間の理想郷を作り上げてるに過ぎません。
人間は何か創造せずとも平和であるという本質を知れば何も作り出す必要がないのです。
私達はただ私達が何者かを知りたいがために生き、その中で学ぶべきことは私達はすべてであると共に何者でもないということです。
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