食糧危機と菜食主義 ヴィーガンやベジタリアンと肉食者にとって良い落とし所はあるか?

公開日: [ 約5分で読めます ] エコロジー, 世界


Photo by Kari Sullivan

世の中には動物性食品をまったく口にしない菜食主義者が存在しており、日本ではそれほどですが海外ではより認知度が高く社会に溶け込んでいます。

私は菜食主義者ではありませんが、ベジタリアン(菜食主義者)と肉や卵を食べる肉食者との相容れない感じを払拭する妥協点が見つかるのが理想です。

菜食主義者は動物を屠殺することの残酷さを批判し、それに対して肉食者は植物にも命があり動物の命だけを尊重するの方が差別だと主張します。

そもそも日本は島国で海や川から魚介類が豊富に捕れ、雨もたくさん振るため穀物や野菜を作りやすい土地柄であるため牧畜に頼らなくても食料を自給できます。

それに比べて欧米は痩せた土地や広大な牧草地が多く牧畜に適した土地に面しており、肉食文化が発展してきたことで現在でも肉の消費量が多い傾向にあります。

日本でいくら食の欧米化が進んでいるとはいえ輸入するのと自国生産では流通量に差が出るのは当然といえば当然です。

日本人の主食は米でそれに野菜や魚が加わるので、肉食文化の国からすればとてもヘルシーな食事に見えるでしょう。

ベジタリアンにも種類がいくつかに分かれており、ヴィーガン(完全菜食主義者)フルータリアン(果実食主義者)そして何も食べないブレサリアン(不食者)を除けば少なからず動物性食品を摂取していることになります。

また普段は菜食主義であっても友人や知人と共に食事をする時には普通に肉を食べるフレキシタリアン(柔軟な菜食主義者)というゆるい縛り方もあります。

菜食主義が体質に合わないと体に様々な不調が現れたり、免疫機能が弱って病気がちになる人も少なからず存在します。

あまり神経質になりすぎるとそれがストレスになり、健康を害する原因となっては元も子もないので、しっかり自分の体と向き合い絶対に無理をしないことが大事です。

ソイミート(肉に似せた大豆)を肉の代わりに使った料理を美味しそうに頬張るベジタリアンは、無意識に体が肉を欲しているのではないかと心配になります。


Photo by grassrootsgroundswell

一方で肉食の観点からすると肉牛や豚は主に穀物を餌に育てられるので、肉の何倍もの食料になる穀物や野菜が消費されるため非効率な行為であると言えます。

味覚を無視して腹を満たすことだけを考えれば、家畜にやる穀物をそのまま人間が食べる方がより多くの人に食料が行き渡ります。

ただしやはり肉の栄養価は非常に高く、それを穀物や野菜で補おうとすると栄養によってはとてつもない量を摂取しなければ釣り合わない場合もあります。

世界の人口が現在70億人を突破していますが、地球が耐えられる人口上限は100億人程度だという予測もあり、いずれ深刻な食糧危機に陥り各国で食料争奪戦が繰り広げられるとも言われています。

そうした極限状態で非効率な肉食が存続できるのかは微妙なところです。

最近ではサンマやウナギも漁獲量が激減して、魚介類もそのうち高級品になってしまわないかと不安になります。

その背景には単純に魚の数が減っただけでなく他国が魚を食べる量も増えてきたため海ではすでに魚の争奪戦が始まっていることがわかります。

全世界の食料をかき集めて均等に配れば余裕で食べていけるほどの食料が生産されているのに、大量破棄されるのは地域格差が生じている他ありません。

こうなってくると菜食主義者と肉食者の対立ではなく、いかに食糧危機の問題と向き合っていくかが重要だと思います。

これまでは国土の狭い日本でも経済力で成り上がれましたが、食料自給率が低く輸入だよりなため食料生産の多い国がパワーを持つ時代が来るのかもしれません。

狭い土地で大規模農業は難しく化学肥料も輸入で仕入れてくるため、食糧危機になっても粘り強く生き残るには昔ながらの有機栽培による小規模農業を展開するしかありません。

感覚的に自給自足まで行かなくとも自分でなんとか世話できるくらいの畑と鶏小屋でも作って近所に川や海があるくらいが一番日本の環境に適した食生活が送れそうな気がします。

米や野菜を中心に卵や魚介類を交えながらたまに鶏肉が入ってくる程度が、最も環境負荷が少なく栄養バランスを満たした食事ではないでしょうか。

欧米でも昔と違い品種改良によって丈夫な穀物や野菜がより多く収穫できるようになったので、牧畜に依存することなく面積当たりの食料生産量を増やす方向へシフトしていく可能性はあります。

菜食主義者は世界がより菜食傾向になるためベジタリアン向けの商品が今より充実して暮らしやすくなり、肉食者は食糧危機や環境問題に伴って牛肉よりも豚肉、豚肉よりも鶏肉というような生産比率の変化が起こりその影響を受けるかもしれません。

ただし厳格なイスラム教徒は豚肉を食べないため、豚肉の奪い合いは他よりも控えめになることも考えられます。

そもそも牛肉だけが抜きん出て生産コストや土地面積が必要になるので、牛肉の生産を抑えるだけで環境負荷がグッと軽減されることでしょう。

牛丼が何百円かで提供されていることもよくよく考えれば凄いことですが、皆はその異常性に目を向けることなく日々消費され続けています。

私は牛肉・豚肉・鶏肉すべて好きですが、その中でも鶏肉が一番好きなので鶏肉が食べられなくなったらショックを受けると思います。

食糧危機や環境汚染によって食の多様性が失われていくのはあまり喜ばしいことではないので、人口増加をカバーできるような食料生産の効率化や環境負荷の少ない食材と生産方法へシフトしていけるかが今後の課題となりそうです。


食糧危機にどう備えるか―求められる日本農業の大転換

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