登山や軽い山歩きへ行く時も地図やコンパスは必要か?

2020年5月8日


Photo by Kevin Gessner

三重県と滋賀県の県境にある御在所岳に一人で登った主婦が道に迷って遭難しロープウェイ職員や山岳警察のお世話になった記事が少々話題になっていますが、地図が読めないので地図やコンパスを持たずに自分の勘を頼りに進んで道に迷ったようです。

一人旅と山登りが好きというアクティブな趣味がある主婦のようですが、ソロ登山なので行き先を自己判断に委ねられ事前の知識もなかったため起こるべくして起きた人災だと思います。

定年を迎え時間に余裕がある中高年が増えて登山者人口が増えているようですが、それに比例して遭難事故も増えています。

その中でも最も多いのが道迷いですが、体力のないお年寄りだと死につながる危険が高いので侮れません。

日本は山国なので登山を始めたばかりの初心者から上級者を唸らせる名峰まで集まっており、そうした環境は世界的にも珍しいようです。

多く登山者で賑わい登山道も整備されレジャー感覚で登れてしまう山も少なくありませんが、そうした山でも遭難事故に遭う確率はゼロではないので、しっかりと準備はしておくべきでしょう。

今回主婦が遭難した御在所岳の中道はそこまで危険エリアや迷いやすい場所はなさそうですが、それでも判断を誤ると簡単に遭難してしまうことがわかりました。

例えプロの登山家でも悪天候や道なき道を行く際に方向感を失い遭難してしまうのが山の恐ろしさですが、素人が道に迷う原因のほとんどは未然に防げることがほとんどだと思います。

個人が対策できることを万全に行い、それでも遭難してしまう可能性のある環境へ足を踏み入れていることを肝に銘じるべきです。

御在所岳に関しては十分に中級レベルの山であり、そうした山に山登りを趣味とする人間が地図とコンパスを持たずに登るというのはやはり違和感があります。

このまま登山者の質が落ちると登山届が国内全域で義務化されてもおかしくはありません。

登山届はできるだけ提出するべきだとは思いますが、そこまでしなければならないほど質の悪い登山者が増えてしまったら残念です。

登山届の提出を義務化している山もいくつかありますが、遭難者のなかで3割ほどが未提出だったりと、そうした登山に対する姿勢が遭難事故の増加に繋がっているのではないでしょうか。

ただ地図とコンパスを持っていけば良いわけではなく、地図の読み方も学ばないと意味がありません。

方角や地図の読み方がわかっても実際にルート確保できなければそれもまた無意味です。

身の丈にあった山に登り少しずつ道具の使い方に慣れていくことが着実なステップアップに繋がります。

まわりが持っていないから自分も持たないというのは受動的すぎてあまり正統な理由にはなりません。

人間はちょっと人里から離れるとすぐに怪我をしたり死んでしまうか弱い生き物なので、そうした環境でサバイバルするには道具が多い方が有利です。

あまり刺激のなさそうな軽い山歩きへ行く時にもコンパスと地図を持っていき、地図読みの練習をすれば普通に登るよりも経験を積めます。

自分が山へ行く目的を明確に意識するだけで、どんなに低山だろうが関係なくとても充実した時間を過ごせるはずです。

他の登山者へ着いていけば安心・この山はしっかりと整備されているから安心などと自分に甘んじること無く、常に自分の頭で考えながら登る方が何倍も疲れるし何倍も楽しいです。

主婦はこれまで特にステップアップをせずに何となく山登りできて今日までやってこれた登山者だと思うので、これを気にもっと山でのサバイバル術を磨き経験を積んで欲しいと思います。

もしそれが出来なければピクニックや初心者向けのレジャー登山で留めておく方が身内やまわりに迷惑かけずに済むでしょう。