サプール(サップ)たちが貧しくてもブランドスーツで着飾る理由

公開日: 最終更新日:2015/02/24 [ 約4分で読めます ] ファッション

sapeur
Photo by Enric Bach

この記事は2014年12月4日にNHKで放送された『地球イチバン 世界一服にお金をかける男たち』に関する放送内容のネタバレが含まれています。

好評だったのか今年に入り再放送もされましたが、テレビ番組なので公式動画はありません。どうしても見たければネットでゴニョゴニョすれば見られるかもしれません。

給料の半分を服飾に費やす

コンゴ共和国およびコンゴ民主共和国の一角でファッションオタクとも呼べるほどファッションにのめり込む人たちがいます。

彼らの月収は約3万円ほどですが、その半分ほどは服を買うために使われます。収入に対する被服費の割合ではかなり飛び抜けた数字だと言えるでしょう。

ブランドスーツともなれば数ヶ月分の給料を注ぎ込むことになります。なぜ彼は着飾る意識が強いのでしょうか。

それはコンゴがフランスの植民地だった時代にヨーロッパの文化が輸入され、今まで見たこともない目新しいブランド品などに魅了されたからです。

その後内戦の影響もあり一時は規模が縮小してしまいましたが、それでも脈々と現代まで受け継がれています。サプールのポリシーとして暴力的な行動を起こさず、皆でエレガントな装いをし、誇りを持って行きることを鉄則としています。

サプールだからといって常に着飾っているわけではなく、週末になると村の一角にどこからともなく集まりファッションに磨きをかけます。

それ以外はとても質素な生活をしているサプールも多く、電気はかろうじてありますが、水は遠くの井戸まで毎日汲みに行くような生活をしています。

貧しいうえにさらに服のために切り詰めた生活をしてでもサプールになる理由はせめて週末くらいは厳しい現実を忘れて楽しみたいからでしょう。

サプールの家族は大反対しているかというと逆に誇りに思い、村の住民たちからも歓迎される立場にあるようです。

それほど娯楽もない村において毎週サプールたちが格好つけながらステップを踏んで路地を闊歩する様は貴重なエンターテインメントとして受け入れられています。

外見を変えれば内面も変わる

ある若者がサプールになるためにベテランサプールのもとに弟子入りするのですが、弟子入りする前はケンカに明け暮れ女癖も悪くどうしようもない悪ガキだったそうです。

しかしサプールを目指し始めてからは鉄則を守り、暴力で人を傷つけることも無くなり落ち着きを取り戻しました。若者が初めてサプールの集会に参加することが決まった時に師匠が弟子のためにブランドスーツを1着買ってあげたところは感動しました。

それなりの金額を弟子とはいえ支払えるのは凄いです。上の立場の人間が若い世代を育てるのが大切なのだと語っていましたが、まさにその精神が失われているのが日本なのだと思います。

放送を見る前はただの目立ちたがり屋だと思っていましたが、そんな自分が恥ずかしくなるくらい国の未来を見据えて活動されていることに感心しきりでした。

気品のある生き方

身だしなみだけではなく民族としての誇りや精神を次世代に伝えるための手段としてサプールはあるのだと気づかされました。

日本にも武士は食わねど高楊枝ということわざがありますが、昔から日本にも気品ある精神が息づいていたということですね。

別にサプールのように大金はたいて高価なブランド品を買えと言っているのではなく、身だしなみのなかに少しだけでもこだわりを見つけたり、貧しくても精神だけは常に磨きを掛けるなど、日本人の視点でうまく噛み砕き取り入れればよいと思います。

ちょっと普段着ない色のシャツに挑戦してみたり、意外と着てみると気分が変わって内面にも変化が現れるかもしれません。

現代はファストファッションが台頭し、低価格でそれなりに品質の良い服が買えます。しかし極端にコスパ重視や無難さだけで選んでしまうと没個性化してしまいます。

かぶり男子なるキーワードも生まれましたが、別に被ることが問題ではなく思考停止に陥っていないかということが重要です。むしろ周りから浮かないよう思考が働いているのかもしれませんが。

長引く不況の影響か平和ボケなのかわかりませんが、なるべく頭で考えることを避けて生きるような思考が無意識に働いているようで自身を含めてお恐ろしくなります。

シンプルライフはそういう方向を目指しがちですが、シンプルにすることで余計な情報は消えますが、だからといって思考しないのは不自然だし危険ですらあるというのが持論です。

挑戦すると足を引っ張られ、粗探しされて叩かれる社会がはたして正常でしょうか?日本では考えられないほどの貧困にあえぐコンゴで気品ある生き方をするサプールたちから学ぶことは山ほどありそうです。


Gentlemen of Bacongo

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